2007年3月号の読みどころ
2007年02月20日発行
<豊田家4代目> トヨタに迫る「大政奉還」
トヨタ自動車が「大政奉還」に向けて動いています。2月末で82歳を迎える名誉会長の豊田章一郎氏の完全引退が迫り、御曹子、章男副社長が社長に就くのは「早ければ来年」とトヨタ幹部は打ちあけます。はたして、章男氏の力量は……?そして、章男氏のみならず、近年、一族の面々が再びグループの経営の中枢を占める形へと戻ってきていますが、2%の株主でありながら重みを増す一方の豊田家とは、如何なる存在なのでしょうか。現代の将軍家、豊田一族の華麗な系譜をはじめ、知られざる実像をお見せします。
<企業スキャン> ファイザー 崖っぷちの「超巨人」
世界最大の製薬会社、ファイザーが1月22日に世界で全従業員の約1割にあたる1万人の削減計画を発表しました。原因は新薬トルセトラピブの開発中止。成長を支えるのに不可欠とされた超大型新薬の挫折は、ファイザーが追求してきた規模の経営が限界に達したことを意味しています。折も折、2月20日にはファイザー前CEOのハンク・マッキンネル氏の著作「ファイザーCEOが語る 未来との約束」が出版され、帯にはトヨタ相談役の奥田碩氏の推薦文もついていますが、はたしてファイザーに未来はあるのかどうか。相次ぐM&Aがもたらした急成長から曲がり角にいたる経緯、その現状と今後の苦難、とりわけ日本法人の行方を見通します。
<石原都政の研究2> 都知事側近「浜渦利権」の正体
前号に続き、石原都政の隠れた一面をクローズアップします。30年以上も石原慎太郎に仕えてきた側近中の側近、浜渦武生・都参与の力の源泉は何なのでしょうか。「いろいろ陰に陽にやってもらった」と慎太郎知事は高く評価しますが、ゼネコンなどの業者が今、誰よりもそのパイプを欲するという彼の調整力と、そこに発生する利権の実態が何かを追跡しました。秋葉原や大手町、そして五輪招致のための築地再開発と「浜渦利権」は目白押し。都市整備局を根城にすれば、容積率や建蔽率などの匙加減で、空間を払い下げることができます。本人は「行政の調整はしても、業者の調整はしない」と言いきっているのですが……。
続いて、各分野の目玉記事です。
<水脈ウォッチャー> 円安が催促した「利上げ」
昨年12月と今年の1月の日銀の利上げ見送りに、市場関係者は肩透かしを食らいました。2度にわたるドタバタ劇は、日銀が福井総裁になってから積み上げてきた金融市場の信認を失墜させる大チョンボでした。福井総裁の本音は、自らの任期中に金利水準をできるだけ自然体に戻すこと。一方で、政府は低金利によって、経済の上げ潮路線を後押ししてもらいたいという要望をあからさまに表明しています。そんななか、尾身幸次財務相が「利上げに対して議決延期請求権を行使しない」と繰り返し、周囲を慌てさせます。その謎を解く鍵は海外からの円安批判にありました。2月20日からの月例の政策決定会合は、三度目の正直か、それとも……。
<同盟クライシス> 沖縄はブッシュと心中せず
昨年11月19日の沖縄県知事選で沖縄電力会長の仲井真弘多氏が当選し、普天間飛行場の辺野古移設をめぐる構図が変わりはじめています。久間章生防衛相の度重なる“食言”の裏には、仲井真知事が防衛省の守屋武昌事務次官がまとめたV字案をのみそうにないという判断が隠れているのではないでしょうか。仲井真知事の真意をその公約の原案から分析しました。そこには仲井真氏が事実上のスポンサーとなった「沖縄クエスチョンと日米同盟」プロジェクトがあり、米民主党系の専門家の助言に基づいているため、ブッシュ政権下では最終合意に到らない公算が大なのです。
<教育も右旋回> 日本版ネオコン「教育再生会議」
安倍政権の目玉政策のひとつ、「教育再生会議」が迷走を重ねています。寄り合い所帯の人選で求心力を失い、議論は紛糾。結局、下村博文官房副長官が拙速でまとめた第1次報告は新味を欠いた内容となり、文部科学省や自民党文教族からもそっぽを向かれる始末。ジレンマを抱えて右往左往しながら、とりあえず右旋回させておく、そんな「チーム安倍」の危うさがこの会議の内幕に凝縮されています。とくに注目されるのは、政権を支える右派人脈の1人である下村副長官と、背後に陣取る「日本会議」の存在です。
3月号のフリー・コンテンツは以下の11本です。2月26日以降、順次アップしていきますので、ぜひお読みください。
【2月26日掲載】
内偵リーク噛みつかれSEC出向検事「狼狽」
恣意的に捜査対象を選ぶ検察に犯人扱いされた「ヒルズ族」のテイクアンドギヴ・ニーズの野尻社長。国家賠償訴訟の可能性も。
週刊誌「底なしの凋落」
新聞社系を中心に退潮が著しい総合週刊誌。販売総額で過去最大の落ち幅を見せ、一番売れている「週刊文春」も98年下期から13%の部数減。
「産む機械」で八面六臂 意外にしたたか福島社民党
「産む機械」をきっかけに存在感を最大限にアピール。勢いに引っ張られた小沢民主党代表は「福島氏の言うことは何でも聞くよ」と言って憚らない。
【2月27日掲載】
パソコン見放す20代「下流」携帯族
ケータイ大国ニッポンで、第2のデジタル・デバイド。20代親指族、フリーター、ブルーカラーの間で「PC文盲層」が激増、ネットの格差社会が生まれている。
竹中日銀総裁説の背後に中川幹事長
福井氏の後任に竹中氏が就任するとの観測が流れ、日銀マンは震え上がっている。
【2月28日掲載】
KKRなど海外ファンドが日興プリンシパルに食指
日興コーディアルグループで投資子会社、日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)に対する買収提案が持ちかけられている。
安倍と中川に「致命的なズレ」
同じ舟に乗っていると分かっていながらの不信の連鎖。水面下のぎくしゃくを隠し切れなくなり、すっかり政権末期現象だ。
【3月1日掲載】
ホンダにTOBとの観測 資源マネーが狙う環境技術
海外資本から敵対的TOBの標的にされる、との観測が浮かんでは消えを繰り返す。ホンダ側は一笑に付すが……。
井上首相秘書官と世耕補佐官が「冷戦」
政権浮揚策をめぐって意見が食い違い、ミゾが深まる両者。連携がうまく行かず手柄の奪い合いに終始している。
【3月2日掲載】
「グーグル・アース」規制か テロリストに使われ脅威深刻
各国の機密が丸見えの「グーグル・アース」。アル・カイダがテロ標的探しに使っていたとのMI5情報。
中国嫌いの石原知事が 五輪招致アピールで訪中か
あれだけ中国が嫌いな石原知事が、中国スポーツ界の大物と秘密裏に会食。その狙いは都知事選に向けた五輪招致アピール。