2012年7月号の読みどころ
2012年06月18日発行
粉飾決算が明るみに出て08年に民事再生法を申請、その後解散に追い込まれたITソリューション大手ニイウスコー。ニイウスコー事件を再検証したFACTAは、メーンバンクの三菱東京UFJ銀行が、その粉飾を事前に知っていながら、資産査定の報告書を書き直させ、系列の銀行系ファンドなどに第三者割当増資を引き受けさせ、蓋をしようとしていた物証を入手しました。日本IBMの別働隊とも言えるニイウスコーは、合併前の三菱銀行がIBM製の業務システムを採用していたことからただならぬ関係にあり、三菱東京UFJの前会長、畔柳氏にも深く食い込んでいました。矛先をオリンパスからメガバンクに転じ、FACTAが得意とする調査報道の第一弾です。
欧州危機が第2フェーズに入りました。欧州第4の大国スペインの支援要請を受け、6月9日、欧州当局は最大1千億ユーロの金融支援を決めました。スペイン当局は問題銀行に資金注入するカネがなく、銀行システム不安と借金財政の挟み撃ちの複合危機。震源地ギリシャはユーロから離脱すれば、劇的な事態は必至。預金者はユーロ建ての銀行預金の引き出しに走り、預金保険制度の常勤職員がわずか10人というギリシャ当局では対処できないでしょう。危機は中国など新興国や資源国にも波及、グローバルに浸透する勢いです。
[「亡国の徒」にお咎めなし] 世間ナメた東電首脳の「遊泳術」
国会事故調査委員会の参考人聴取で東京電力の清水前社長が登場したのは、政権幹部の聴取で自分に不利な発言が出尽くした後。作戦を充分に練った成果か撤退問題の反論に徹し、「記憶にない」を連発しました。反省の弁なき「遊泳術」は勝俣会長も同様です。今年3月に5兆5千億円の株主代表訴訟を起こされ、判決によっては自己破産もあり得る東電経営陣は自己保身に汲々。国の資金が注入されるにもかかわらず東電が裁判に補助参加し、その費用も会社で支払う方針です。
「最後の独裁者」と自称する渡邉主筆が「大皇帝」として君臨する読売新聞で、「小皇帝」と揶揄される権力者が浮上。清武前巨人軍球団代表を徹底的に叩く「清武シフト」の司令塔を務める、経営戦略本部長の山口氏です。もともと社会部出身で人望も厚かった山口氏ですが、渡邉氏の信頼は高まるばかりで6月12日付の人事でも次期社長の本命であることが鮮明となりました。しかし「清武叩き」に紙面を費やす読売の手法に、「常軌を逸している」と内外から批判が強まっています。
消費増税と社会保障の一体改革協議で3党が合意、小沢一郎氏の剛腕伝説がいよいよ終焉を迎えようとしています。表向きは強気を崩さないものの勝算はなく、すでに小沢氏は手詰まり。新党構想を進める勢力からも忌避され、連携に展望もありません。そこに和子夫人の手紙を全文掲載した「週刊文春」の記事が出て放射能から逃げ回る様子が暴露され、小沢親衛隊でさえ困惑。もはやこれまでなのでしょうか。
6月25日以降、フリー・コンテンツを順次アップしていきます。