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阿部重夫編集長ブログ「最後から2番目の真実」

2012年05月12日

ラムズフェルド『真珠湾からバグダッドへ』のススメ

2012年5月6日付熊本日日新聞の書評欄で、ブッシュ前政権の国防長官だったドナルド・ラムズフェルドの回顧録『真珠湾からバグダッドへ』(幻冬舎、税別2600円)を書評しました。

同書には、ロンドン時代からの畏友、谷口智彦氏が優れた解説を書いていたので、それに触発されて書評で取り上げました。一般に自伝なるものは自慢話と自己弁護ばかりで、放り出したくなる内容の本が多いのですが、ラムズフェルドの腹蔵のない語り口と、本人の負けず嫌いむきだしの舌鋒のゆえに、波乱万丈で読み物として面白い。

もちろん、自分はアメリカの専門家ではなく、いわんや、ネオコン諸氏とはお会いしたことがない。ネオコンの元祖とされるレオ・シュトラウスに興味があって、コジェーヴやシュミットを少々聞きかじったにすぎない。そのささやかな知識の範囲内で、このタフガイを論じられるか、ちょっと挑戦してみた。

原題のタイトルは、15世紀の二クラウス・クザーヌス『知ある無知』De docta ignorantiaをすぐ連想させる。でも、プリンストン大学出とはいえ、アマチュア・レスラーだったラムズフェルドが読んだかどうかはおぼつかない。そういう思弁とは対極の人のようである。

投稿者 阿部重夫 - 08:00| Permanent link | トラックバック (0)

2012年04月20日

大鹿靖明著「メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故」書評

2月27日のブログでも紹介しましたが、4月8日の北海道新聞朝刊に書評を寄稿しましたので、こちらも掲載します。

*   *   *   *   *

「もうこのへんで」。伏し目がちの医師がささやく。半透明のカーテンの彼方の生ける屍(ネオモール)。肉親たちは無言でうなずく。人工心肺のスイッチが切られ、奇妙な静寂が訪れた。変哲もない臨終の光景である。

だが、この隠微な安楽死の光景は、「3・11」以降の東京電力でもある。福島第一原発はチェルノブイリと同じく「石棺化」するしかない。浜通りのゴーストタウンは、すでにウクライナの草むす無人地帯と化した。ウサギ追いしかの山も、小ブナ釣りしかの川も、もう戻らない。誰も想像できなかった「終末」が日常に出現したのだ。

死に体の東電を生かしておく、気の遠くなるようなコストと時間。それを誰も口にする勇気がない。だが、最適解はどこにあったのか。

投稿者 阿部重夫 - 08:00| Permanent link | トラックバック (0)

2012年04月18日

嵐の公開質問状シリーズ2 ネクシィーズとトーマツ

SBIに出した第4質問状と同じく、SBIアラプロモ(SBIファーマに社名変更)の怪しい「益出し」――特別利益計上の根拠について、株式の一部売却先であるネクシィーズと監査法人のトーマツに問いただしたものです。

まずはネクシィーズの近藤太香巳年社長あてに。

*   *   *   *   *

(株)ネクシィーズ 
代表取締役社長
近藤太香巳年様

SBIグループとの取引について

ファクタ出版株式会社
月刊FACTA発行人 阿部重夫

拝啓
時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。ご承知かと存じますが、弊誌はSBIホールディングス(“以下SBI”)についての記事を2012年1月号、4月号で掲載しております。同社は本誌に対して名誉棄損の損害賠償請求を東京地方裁判所に提訴しておりますが、本誌はさらなる記事を準備中であり、先日発表された御社とSBIホールディングスの取引についてお尋ねさせていただければ幸甚と存じます。質問は以下の通りです。

1)3月30日、SBIは、関連会社のSBIアラプロモ(株)(以下アラプロモ)を「複数の事業会社等」に5.83%売却し、約42億円の特別利益を2012年3月期に計上すると発表いたしました。この今回取得した「複数の事業会社等」の中に御社ネクシィーズは含まれているのでしょうか?

2)御社の2011年9月期有価証券報告書の中には、御社が投資有価証券としてアラプロモを194株、帳簿価格199,542千円で保有していると記載されています。2010年9月期には保有されていませんでしたので、2010年10月~2011年9月の間に取得されたと思いますが、取得されたのはいつですか?

3)御社有の価証券報告書上のアラプロモ株の簿価は一株102.8万円となります。アラプロモはSBIの決算説明会資料によれば、2011年3月通期で営業損失11億円、2012年3月3Q累計で8億円の営業損失です。アラプロモの直近増資は2009年12月から2010年11月までの期間に行われた一株5万円であります(SBIライフサイエンス・テクノロジー投資事業有限責任組合の有価証券報告書より)。なぜ直近の増資時価格の20倍という高い評価で赤字会社の株式を購入されたのですか。御社の払った値段でのアラプロモの企業価値評価は700億円以上になりますが、そう評価した理由をお教えください。

4)御社の2011年9月期有価証券報告書の中には、「その他の投資有価証券」としてSBIイノベーションファンド2号投資事業有限責任組合900口を900,000千円、SBIブロードバンドファンド1号投資事業有限責任組合5口を335,043千円、SBIビービ-モバイル投資事業有限責任組合2口を157,571千円、SBI・NEOテクノロジーA投資事業有限責任組合2口を128,996千円、保有されています。これらの組合への投資も2010年9月期には記載がありませんので、2010年10月~2011年9月の間に取得されたと思います。これら4つのファンドのうち、SBIイノベーションファンド2号投資事業有限責任組合とSBIブロードバンドファンド1号投資事業有限責任組合は運用期間が終了しているはずです。SBIイノベーションファンド2号投資事業有限責任組合は出資者の当初出資額の100万円/口で評価されています。これらのファンドは誰からどういう事情で取得したのですか。

以上でございます。近藤社長が尊敬する北尾氏にもこの件で質問状を出しています。
御社も上場会社として株主に説明責任がありますので、お忙しいところ恐縮ですが、4月11日までに文書または電話か口頭でご回答いただきますようお願い申し上げます。敬具

4月6日

投稿者 阿部重夫 - 09:00| Permanent link | トラックバック (0)

2012年04月17日

嵐の公開質問状シリーズ1 SBI第四質問状

ブラックアウトが終わりましたので、これから嵐のように質問状シリーズを続けます。第1弾はいまや訴訟でどちらが倒れるかの力相撲になっているSBIホールディングスから。先月は「後出しジャンケン」であれだけ威勢よくリリースしたのですが、その後に追撃でこのブログに載せた第三質問状にはまた沈黙。FACTAが今月の最新号の取材で送った第四質問状にも期限の11日までに答えませんでした。

ところが、13日には、質問状で聞いたSBIアラプロモ(社名変更でSBIファーマ)でリリースを発表して、またもや「後出しジャンケン」に出ました。このリリースだけじゃ、いかにも唐突すぎて、一般の人は何のことかわかりますまい。FACTAの追及に対する苦し紛れの後付け理屈なのです。

サプリの赤字子会社で、創薬の研究開発機能などなきにひとしいのに、弊誌に痛いところを衝かれたものだから、慌ててバーレーン政府と基本合意などというとってつけたようなリリースをだしたものと思われます。それでも時価総額720億円などという値がつくようなニュースとは思えませんが、これで市場の目をくらませるとでも思っているのでしょうか。

質問状は以下の通りです。

投稿者 阿部重夫 - 08:00| Permanent link | トラックバック (1)

2012年04月16日

ウッドフォードの本の読みどころ

オリンパス報道で第18回雑誌ジャーナリズム大賞を受賞した山口義正君の『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』(講談社)に続いて、元CEOマイケル・ウッドフォードの『解任』(早川書房)も出版されました。自分が登場人物の一人になっているので、これはだれかに書評はお任せするのが妥当でしょう。

山口君の本は、本誌次号で高田昌幸氏の書評が載りますので、そちらをよろしく。

高田氏は北海道警の裏金問題をスクープして2004年度の新聞協会賞を受賞した元北海道新聞の記者です。その後、道新が訴えられ、新聞社と警察が手打ちする形となって、彼は新聞社を辞めました。

しばらく浪人で、新橋で朝日の新聞協会賞受賞記者と3人で飲んだことがあります。道警問題に踏ん切りをつける新著『真実 新聞が警察に跪いた日』(以文社)を出版しました。こちらも読んでいただくと、新聞の現状がよく分かります。そしてこの4月からは故郷の高知に帰って、高知新聞社に入社して、久々に報道の最前線に戻りました。そこで、彼に書評をお願いした次第です。

投稿者 阿部重夫 - 12:00| Permanent link | トラックバック (0)

2012年04月09日

すでにブラックアウト

例によって編集期間に入りましたので、しばしブログはお休みです。今回はあちこちに質問状を発して、先週はブログを書いている暇なし。再開したら大忙しとなるでしょうが、送った先の方々のみならず、読者のみなさんもお楽しみに。

投稿者 阿部重夫 - 23:02| Permanent link | トラックバック (0)

2012年03月27日

アントニオ・タブッキを悼む

もちろん、須賀敦子さんの翻訳でタブッキを知りました。

外国語の翻訳物はなかなか気に入る訳がないのですが、須賀さん本人も好きだという短編集『島とクジラと女をめぐる断片』がいい。大西洋に浮かぶアソーレス諸島(ポルトガル領)が舞台なのですが、さりげない会話や描写にはほとほと脱帽させられます。この小説の才能を前にしたら、下手なフィクションを書こうなどという気が起きるはずもありません。

タブッキはイタリア人なのですが、ポルトガルに深く傾倒していました。絶対に存在しない書の影、あるいはコピーに過ぎないという『不安の書』を書いた詩人フェルナンド・ペソアを、たびたびその小説に登場させています。タイトルにもある『フェルナンド・ペソア最後の三日間』はもとより、『供述によるとぺレイラは…』も、ペソアの影がちらついています。

投稿者 阿部重夫 - 08:00| Permanent link | トラックバック (0)

2012年03月25日

SBI追及へCrowdsourcing

SBI将軍様との全面戦争は、インターネット上の戦争でもあります。SBI証券(旧Eトレード)が傘下にあるので、それならお手の物と言いたいのでしょうが、そうは問屋がおろしません。水に落ちた牛に群がるピラニアのような「エミールと探偵たち」のような戦い方もありますから。

どうやら将軍様は、覆面社員にヤフー掲示板を占領させて、他の投稿を削除させるステマ(ステルス・マーケティング)に励んでおられるようです。バレバレですよ。kabutennjinnと牛丼がかけあいで繰り広げるけなしあいだなんて。FACTAは創刊前からソニーのステマを叩いていますので、正体はまる見えです。80年代の株式市場で株価操縦やり放題だった野村の手口を、そのまま踏襲ですか。これは相当焼きが回ってますね。

SBIに泣かされた投資家のみなさんは、本当にお気の毒です。でも、SBIステマ部隊が消し忘れた掲示板の投稿をひとつご紹介しましょう。

投稿者 阿部重夫 - 08:00| Permanent link | トラックバック (0)

2012年03月24日

SBI「将軍様」への第三質問状

このブログ、しばらく休んでいたので、さぞかし北尾将軍様は、鼻の孔を広げて枕を高くして寝ていたかと思います。

後出しジャンケンがお得意の将軍様が、後からどんなパンチを繰り出してくるか、キンシャサのモハメド・アリみたいに、グローブの間からじっと相手を見ていました。正直、にやりと笑う心境になりました。わーわー言えば言うほどボロが出てくる。突っ込みどころ満載ですから。

訴状は確かに届きました。1億5245万円の損害賠償請求と、FACTAおよびFACTAオンラインに謝罪広告を6カ月掲載せよ、というものでした。厚さ4センチもある写しが東京地裁から郵送されましたが、ほんとにコケおどしですね。本体は20ページばかりで、あとは謄本ばかり。訴状まで上げ底なんですね。

グループ総力をあげての反論も回答書、通知書、それにリリースからヤフー掲示板までじっくり拝見させていただきましたが、肝心なところは「契約上の守秘義務」とやらで、都合が悪くなるとイチジクの葉っぱの癖が丸見えです。

投稿者 阿部重夫 - 12:00| Permanent link | トラックバック (0)

2012年03月19日

SBIホールディングスへの第二公開質問状

3月8日にSBIホールディングスが出したリリースによると、同社は弊誌を名誉棄損で訴え、東京地裁で訴状が受理されたそうです(訴状がまだ届いていないので詳細は不明ですが)。

1月号の記事に対し、SBIホールディングスおよびSBIインベストメントの代表取締役CEOである北尾吉孝氏から届いた訂正要求と警告文(いずれ公開しますが)で、また書いたら訴えるとの趣旨の脅し文句を忠実に履行したものと思われます。

なぜなら、リリースを出す前日、弊誌は第二弾を準備中と宣言したうえで、北尾氏に昨年12月15日にこのブログで公開した質問状に続く第二質問状をお送りしたからです。訴訟好きの北尾氏、追い詰めればそう出るだろうことは承知の上でした。

前回はコーポレート・インフォメーション部から文書回答をいただけたのですが、今回はいきなりリリースで、うんともすんとも言ってきません。回答の意志があるかどうか、2月12日に確認の電話を入れたところ、「係争中なので回答はありません」と返答してきました。

「では、存分に書かせていただきます」と言いましたが、FACTA最新号にこちらもお約束どおり、「SBIが『連結外し』隠蔽」という記事を掲載し、オンライン上で公開された18日になって、SBIはリリースだけで回答してきました。奥ゆかしいですねえ。記事が出てからでないと回答できないのですか。後出しジャンケンとは、恐れ入りました。それだけ必死なのだ、と理解します。

投稿者 阿部重夫 - 00:00| Permanent link | トラックバック (0)


発行人 阿部重夫

編集長 阿部重夫

1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

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