2012年4月号の読みどころ
2012年03月18日発行
SNS(交流サイト)大手、GREEの株価が乱高下しています。エンロンを崩壊させた米国の「空売り王」に狙われていると囁かれているから。実は世界で唯一マネタイズ(課金化)に成功した日本のソーシャルゲームを取り締まりろうと霞が関が連絡会議を開き、警察が摘発を検討中だからです。人気ゲーム「探検ドリランド」のように、基本は無料でもカード(アイテム)で課金し、電子クジで「パチンコよりも射幸性を高めているため」です。GREEはあわてて15歳以下の課金制限などの改善策を打ち出しましたが、警察の鉄槌で日本経済の「暗夜の一灯」はいっぺんにポシャるのでしょうか。
こんな奇怪なことがあっていいのでしょうか。昨年11月、香港証券取引所で「思佰益」ことSBIホールディングスがこっそり開示したのは、日本では開示していない重大な連結子会社の異動でした。赤字の100%子会社ホメオスタイルを〝一個人〟に売却し、その個人の持つ他社株と交換して連結を外すという曲芸です。関東財務局にも東証や大証にもこれを適示開示しなかったのはなぜか。投資適格ぎりぎりのBBBの格付けで12月に100億円、1月300億円の社債を発行しているのですが、北尾CEOの尻尾をとうとうつかまえました。本誌の質問状にSBIは名誉毀損で賠償訴訟を起こし「係争中」を理由に回答しませんが、回答できないのでしょう。最終戦争が火ぶたを切りました。
ユーロ解体危機が迫る最中、3代目ECB(欧州中央銀行)総裁を引き継いだマリオ・ドラギ。イタリア出身、米MITで博士号、ゴールドマンで働いた彼が実施したのは3年物の長期オペ(LTRO)、計110兆円の巨額資金供給。多くの欧州銀行が処分に困っていた資産担保証券も担保として受け入れられることになり、担保不足は緩和され、銀行間市場の機能が回復。欧州は危ういところで破局を回避しました。米欧の金融界に太い人脈を持つ「スーパー・マリオ」の大胆かつ周到な采配、その行方は。
タクシー業界最大手・日本交通の社長は、米国でMBAを取得し外資コンサルに勤めた経験を持つ若き御曹司・川鍋一朗氏。日本交通に入社早々1900億円の負債を整理、「タクシー王子」と持てはやされていた彼ですが、立ち直ったはずの会社が再び危機に陥りました。厚生年金基金の積立不足という「隠れ負債」が放置されたまま、今や深刻な状態に。手に負えない規模の不足金が生じています。グループの売上高も3期連続減収、LPガスは高騰。今こそ「王子」の真価が問われています。
FACTAが2月号でスクープした日本大学の田中理事長と裏社会の疑惑は、いよいよ2月21日、日大本部に警視庁が立ち入る事態に発展しました。日大の発注工事を取り仕切る管財部から、入札記録など一切を段ボールで運び出し、関係者にも事情聴取しています。そして捜査対象に関連会社「株式会社日本大学事業部」も浮上しました。同社は理事長が立ち上げた「利権の巣」。社長は日大の現総長です。権力闘争も背景にしたマンモス大学の黒い疑惑、独走スクープ第2弾!
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