2007年3月号 連載 [メディアの急所]
フジテレビ系情報番組「発掘!あるある大事典Ⅱ」のデータ捏造を暴露したのは「週刊朝日」。久々の大スクープとなったが、新聞社系を中心に総合週刊誌の退潮は著しい。日本ABC協会の調べによると、「週刊朝日」は1998年下期(7~12月)には33万3千部あった部数が、最新データの2006年上期(1~6月)では20万8千部と37%も下落。「サンデー毎日」は同じ期間に15万部から8万7千部へと42%も激減した。「30万部なければ週刊誌じゃない(パンチが利かない)」とされる業界で、すでに「権力者が痛痒を感じない弱体メディア」と化している。
出版社系も散々だ。「週刊ポスト」は同78万2千部→40万3千部と48%減、「週刊現代」は76万2千部→44万8千部と41%減。90年代にヘアヌードでサラリーマン層に売れ、「現ポス族」なる流行語も生んだが、ヘアをやめた途端に部数がドンと落ちた。いま一番売れているのは「週刊文春」で57万1千部。それでも98年下期の65万5千部からみると13%も落ちている。こうした総合週刊誌「全面安」の中で部数を伸ばしたのが、「週刊新潮」だ。46万5千部から50万9千部と9%増えた。一時、「ひねた中高年インテリ向きの屈折した誌面づくり」とクサされたが、ヌードなど色物に頼らず、スクープと読ませる文章で勝負してきた。ただし、最近は04年上期の54万8千部をピークに再び部数が落ち始めている。出版業界全体の週刊誌の昨年上期の販売総額は前年同期比6.9%減で、過去最大の落ち幅だ。週刊誌の底なしの凋落は出版社経営に暗い影を落としている。