2012年9月号の読みどころ
2012年08月18日発行
日本IBM系のニイウスコーの粉飾に加担、その不良債権の飛ばし先に系列のファンドを使ってきた三菱東京UFJ銀行(BTMU)に対する本誌の調査報道によって、金融庁の指導の下、行内でもコンプライアンス部門の調査が始まりました。浮かびあがったのは、メガバンクがグループ会社の身びいきを禁止する「アームズ・レングス・ルール」をないがしろにしてきたことです。銀行法や金商法に違反するみならず、「痰壺」ファンドが地銀などに蔓延すれば、国ぐるみの飛ばしとなり、資本市場を扼殺しかねません。
シャープの業績が急速に悪化、8月2日には5千人規模の大リストラを発表しました。今期の純利益予想は2500億円の大赤字に3度目の下方修正。目を覆うばかりの惨状の原因は、グローバルな経営環境の激変にあらず。現実を直視しない「不届き経営」のツケです。業績が過去最高だった06年でさえ、労使が結託して見せかけのベアを発表し、社内は大揺れ。米国での液晶パネルのカルテル問題では巨額和解金支払いが相次ぎ、税務調査では所得隠しの指摘。国内雇用維持のための100億円の国の助成金どこへ消えたのでしょうか。
ヤクルト本社のトップの座に16年間居座り続ける堀会長は、出入りの卸会社からリベートを受け取るなどヤクルトの「負の歴史」を背負う人物。前号で報じた裏社会とのつながりに続き、今度は東京・渋谷の億ション購入に絡んで不正蓄財疑惑が浮上しました。購入にあたり組まれた住宅ローンは、抵当権の設定が仮登記である上に、わずか4年9カ月で1億5千万を返済。返済資金はどこから調達したのでしょうか。税務署の目を逃れて裏金を使うために仕組まれた住宅ローンのからくりに迫ります。
野田首相が増税法案を通すために自民党の谷垣総裁に「近いうちに」と表明した衆院解散・総選挙はいつになるのか。思惑から諸説ふんぷん。党分裂、大敗北の十字架を背負う覚悟の野田首相が、残された時間でやり遂げたいのは「衆院の定数削減」と「一票の格差是正」。解散権を握る首相の意向は無視できません。一方、今国会中の解散を引き出せなかった谷垣総裁は苦しい立場に。早期解散の希望は叶えられそうになく、再選は厳しくなってきました。
8月25日以降、フリー・コンテンツを順次アップしていきます。