2011年2月号の読みどころ
2011年01月19日発行
NTTドコモが昨年末、「FOMA」にかわる次世代携帯電話規格「LTE」の商用サービスを開始しました。しかしカバーエリアはまだ都心の一部に過ぎず、勝機と見たソフトバンクの孫正義社長は、「次世代規格でドコモのエリアを上回れ」と社内に大号令。勝負球になるのは買収したウィルコムが次世代PHSとして推進していた「XGP」です。この規格、日の丸技術推進のため2.5GHz帯の免許が下りた経緯があるにもかかわらず、実は「中国版LTE」であるTD-LTEと時分割方式が共通。中国の華為など世界の有力ベンダーがこぞって出資したのも、WiMAXオペレーターの米クリアワイヤに秋波を送るのも、中国版LTEを核とした「時分割」連合の布石では。裏口から中国方式を日本に忍びこませる孫社長の“小判ザメ”商法、その勝算やいかに。
三井住友フィナンシャルグループと“協議離婚”して1年あまり、大和証券グループ本社が苦境です。離婚相手から顧客を切り崩され、最終赤字に転落。鈴木社長の退陣論が噴き出し、新たな提携先を探る動きが表面化しました。次の「嫁ぎ先」はどこになるのか。水面下でさまざまな提携アプローチが行われ、みずほフィナンシャルグループや三菱UFJフィナンシャルグループの名が挙がるなかで、第三の候補として浮上したのは日本生命。もともと親密だった野村証券のツレない行動もあり、大和との関係強化に乗り出した模様です。預かり資産40兆円を超える「三国一の花嫁」大和の行方を追います。
09年の「ドバイ・ショック」に続き、アルジェリア高速道路工事の1千億円規模の未払い問題で、激震に揺れる鹿島建設。株価は低迷、中村社長の進退が取り沙汰され、創業家への大政奉還となるか注目が集まっています。アルジェリア危機では万策尽きて忌み嫌っていた民主党政権と手を結んだものの、今期は最悪の決算になる可能性が。一方、「脱談合」に踏み切った中村社長のもとでも鹿島の体質は変わらず、不祥事も続出。今や会長、社長の求心力は低下し、首脳人事社長派、会長派、創業家が三すくみになっています。
2022年のW杯開催国は、なぜもっとも条件の悪い酷暑のカタールに決まったのでしょうか。敗退した日本は、年明けに行われた国際サッカー連盟(FIFA)のアジア地区理事選でも落選、選ばれた新理事は二人ともカタールの実力者ハマム氏べったりの人でした。W杯開催国決定に至るまでFIFAでは不正取引や収賄疑惑などスキャンダル続き。投票日の3日前には電通とアディダスの合弁会社の子会社であるマーケティング代理店の内部資料が公開され、175件に及ぶ極秘支払いリストにFIFA幹部3人の名前があることも明らかになっています。札束が飛び交うW杯の裏側を、08年の「電通FIFA疑惑」で本誌に寄稿してくれたスイスの記者が詳しくお伝えします。
特捜部立て直しをめざして始動した笠間検察はの標的は何か――本誌が昨年報じた「原発フィクサー」の疑惑が浮上してきました。常に捜査当局に狙われながらも塀の上を歩いてきて、検察を歯ぎしりさせてきた男が浮上してきました。小沢疑惑の発端となった中堅ゼネコン、西松建設から使途不明の40億円が貸し付けられています。新体制の西松から返済を迫られたこの男が縋ったのは東京電力の元会長とされています。色よい返事をもらえなかったため、ついに一通の手紙をしたため、東電のために尽くした自分が使用済み核燃料の中間貯蔵施設で警備業務を受注させてくれと綿々と訴えました。しかし、特捜部はこの手紙を入手、限りなく恐喝に近いとみています。ついに解かれようとしている「原発利権」の封、その深層を追うFACTAのスクープです。
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