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2007年6月号の読みどころ

2007年05月20日発行

<企業スキャン> シャープ――新鋭社長待ち受ける「艱難辛苦」

2007年3月期連結決算で売上高、利益ともに4年連続で過去最高を更新し、液晶テレビ「アクオス」のヒットなどにより我が世の春を謳歌するシャープ。4月1日に社長に就任した49歳の若きエース、片山幹雄社長が決算会見で「オーラ」を放ちましたが、話題が販売目標に及ぶや、いつもの片山氏らしからぬ慎重発言。会見場は一瞬しらけましたが、その背景には、ブランド戦略で後手に回り、北米や欧州における出荷が伸び悩んできたことがあります。また、業界構造の変化で部品メーカーの業績が悪化、「液晶村」の共存共栄が成り立たなくなってきました。そして、最大の脅威である松下電器の液晶参入を怖れる日々……。挫折をばねに飛躍し社長に就任した片山氏が、次のハードルにどう立ち向かっていくのか、難しい舵取りを迫られています。


<日本の武器商人> 防衛省震撼「山田洋行」の闇

ホリエモンがかつて「武器商人みたい」と食指を動かした防衛専門商社、山田洋行。その内紛劇のおかげで、次期輸送機CXの「1000億円エンジン商戦」の暗部が暴かれようとしています。同社は不動産・ゴルフ場の山田グループの傘下にありましたが、グループ中核企業の弥生不動産が整理回収機構に移管されて、山田洋行も売りに出されかけました。それを機に宮崎元伸前専務と配下の30人は昨年9月、独立して「日本ミライズ」を設立、エンジンを供給するGEの代理店を奪取したと主張しています。これに対し山田洋行は10億円の損害賠償請求訴訟を起こしたため、刺し合いで防衛利権の裏側が暴露されそうな形勢に、東京・市ヶ谷の防衛省はハラハラ。山田グループは西川善文・三井住友銀行前頭取の「不良債権処理」に協力してきたダミー企業で、紛争の泥沼化は旧住友の「西川案件」という地雷をも踏みかねません。


続いて、各分野の目玉記事です。

<水脈ウォッチャー> 温暖化目標「破約」の日本

カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事は今や環境の伝道師です。国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)で、地球温暖化は人類の産業活動によると結論、20年もの神学論争に片がつきました。気がついてみれば、京都議定書から離脱したアメリカが豹変、州単位では温暖化対策に動き出しました。「二酸化炭素排出1位の米国、2位の中国が参加しないなんて意味がない」と高をくくっていた日本は、京都議定書で約束した「2008~12年に6%削減」という目標達成が絶望的です。このままでは「破約」日本がハシゴを外されかねません。米国の豹変ぶりをルポします。


<インタビュー> 麻生太郎 外務大臣 「過渡期の日米同盟 自問自答を絶やすな」

2006年11月、麻生太郎外務大臣は外交演説を行い、日本外交の新機軸を打ち出しました(外務省HP内「『自由と繁栄の弧』をつくる」)。

民主主義、自由、人権、といった普遍的な価値を重視する「価値の外交」によって、アジアから欧州にかけて「自由と繁栄の弧」を拡げていく、というビジョンが麻生節で熱く語られたその内容は、日本外交の変化と共に、信用できる積極的な日本人像をも世界に伝えました。本誌のインタビューでは、その舞台裏の奮闘に迫ります。この1年で急速に進展した対中外交のエピソード、日米同盟やテロに対する見解から、祖父(吉田茂)のDNAにいたるまで、麻生大臣が率直に語ります。


大暴走する「みずほCB銀行」

みずほコーポレート銀行の斎藤宏頭取の自主独立路線でグループ内が分裂状態に陥っています。旧3行間の不協和音が絶えない中、今春、潔く斎藤氏と同時退任することで世代交代とグループ融和につなげようと考えていた持ち株会社みずほFGの前田社長の構想が頓挫しかねません。旧興銀出身の同期、小松崎BK副頭取と佐藤CB副頭取の処遇がカギ。


<暗躍するドラッグ・マフィア> 戦慄のニセ医薬品「暗黒市場」

偽造医薬品が世界的に蔓延し、死亡例を含む深刻な健康被害に加えて国際マフィアや暴力団が介在する「暗黒市場」が急拡大しています。ニセ薬はバイアグラ、美白剤などのライフスタイル薬から抗HIV薬、抗がん剤といった生命にかかわるものまであらゆる種類に及びます。バイアグラに到ってはニセモノが本物の2・5倍も出回っているといわれます。これら偽造薬の最大の密造センター、中国で摘発されたバイアグラ密造現場の光景は正視に堪えないおぞましさ(本誌で写真をご覧下さい)。ドラッグ・マフィア暗躍の信じがたい実態をレポートします。


<新チャイナの定義> 中国「平和的台頭」の幻惑

これまで再三、「平和的台頭」を訴えてきた中国ですが、この1月11日、自国の気象衛星を標的に衛星破壊の実験を実施、世界に深刻な衝撃と混乱を与えました。中国はその根拠について、対外的にいっさい説明していません。筆者はこの予測不能な中国の定義を試み、民主化の遅れによるソフトパワーの欠如を指摘、「北京、上海などの大都市の高層ビル群にのみ目を奪われていては判断を誤る」と警鐘を鳴らします。


<長期政権の野望> どこまでやる気「安倍改憲」

安倍晋三首相は7月の参院選に憲法改正を公約に掲げて臨みます。その路線はどこまで本物なのでしょうか。改憲しないと実現できない国家ビジョンとは何なのか、実現のために必要な政治勢力をどうやって構築するのか、といった具体的なプランが見えてきません。それどころか、「改憲公約」には首相自身の俄かに得心しがたい遠大な野望が底に秘められているようです。「安倍改憲」の動機、特徴、矛盾を鋭く洞察します。


5月号のフリー・コンテンツは以下の10本です。5月25日以降、順次アップしていきますので、ぜひお読みください。

【5月25日掲載】
森トラストが握る アイピーモバイルの首の皮
土壇場で生き延びたが行く手は視界不良のまま。「すでに時間切れ」との声も。

田勢康弘コラム「硯の海 当世言の葉考」~「無言」の深さ、重さ
著者のあふれ出る涙が胸を打つ。魂のこもった田勢エッセイの真骨頂。

【5月28日掲載】
もう隠せない「中国弾圧」事情
ネット社会に「かん口令」敷く時代錯誤。非合法組織が海外メディアに通報。

ハヤシライスが大好きな安倍首相の健康問題
あえて番記者との懇談で「持病」に触れた安倍首相の健康状態は……?

【5月29日掲載】
木を見て森を見ず 「ネットカフェ」規制
「サイバー犯罪の温床」と警察は目の敵。だが、ネットバンキングなど出口のガード固めが先決。

ポスト石原は小池百合子か
「ポスト石原」本命は次男の良純氏だが、世襲批判を避けるために小池氏を推す声が浮上。

【5月30日掲載】
「監視カメラ大国」英国 不審な仕種だけでズーム
1年後には「こわばった表情」「こそこそした動き」も識別可能に。

警察庁長官の漆間巌長官が内閣官房副長官に
的場順三現副長官は公務員制度改革などでミソ。後任に外務省の谷内正太郎氏は固辞。

【5月31日掲載】
朝日新聞が持ち株会社へ 知恵と汗で給料を稼ぎ出せ!
収益が見込める不動産事業は本体に残し、切り離すのは赤字続きの出版とデジタルメディアの2つだけ。

セコム経営のホテルがサミットの会場になった理由
約700億円が投じられたバブルの殿堂が数奇な運命をたどり、栄えあるサミットの舞台に。