2007年6月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]
読売(02年7月)、日経(07年1月)に続いて朝日新聞も「持ち株会社」への移行を決めた。新聞事業本体を持ち株会社に残しつつ、出版とデジタルメディアを分社化して、収益に貢献させる狙いである。朝日の「持ち株会社構想」は4月19日に発表された07年度から3年間の中期経営計画に盛り込まれたが、実施時期は明記していない。計画によれば、編集や販売、広告、制作といった新聞事業本体は「朝日新聞本社」に残し、グループ経営も併せて行う。出版本部とデジタルメディア本部は分離し、「朝日新聞本社」の子会社になる。読売のように純粋持ち株会社の下に東京、大阪、西部の各本社と中央公論新社、読売巨人軍をぶら下げるやり方ではなく、新聞事業を抱える事業持ち株会社の下に出版と電子メディアを置く日経によく似ている。
若者層の活字離れ、広告スポンサーの新聞離れは朝日も例外ではなく、これに消費税率の引き上げが加われば存亡の秋(とき)を迎えかねない。秋山耿太郎社長はタイムリミットを「今後3年間」と明言、その間にできる限りの手を打ちたい考えのようだ。ただ、2013年度完成予定の大阪本社ビル建て替えなど、収益が見込める不動産事業はしっかり本体に残し、切り離すのは赤字続きの出版と、まだ収益部門として確立していないデジタルメディアの二つだけ。別会社化で「業界最高水準」とされる賃金を抑制し、「自分の知恵と汗で給料を稼ぎ出せ」ということか。