2007年6月号 DEEP [ディープ・インサイド]
警察庁の漆間巌長官(昭和44年入庁)の内閣官房副長官への抜擢が確定的となった。的場順三官房副長官(旧大蔵省32年入省)は、参院選後に予定される内閣改造で退任する。官界トップの事務担当官房副長官に漆間氏が就けば、田中角栄政権の後藤田正晴官房副長官(故人、旧内務省14年入省)以来の警察庁出身となる。
現在、内閣官房では野田健内閣危機管理監(42年入庁)と三谷秀史内閣情報官(49年)の2人の警察庁出身者が幅を利かせている。さらに、漆間氏が官房副長官に登用されれば「警察偏重」とのブーイングが沸き起こるだろう。そこで警察庁首脳部は、創設以来の指定ポストである内閣危機管理監を旧内務省系の他省庁に譲ることでバランスをとろうと画策。野田管理監の後釜に香山充弘元総務事務次官(旧自治省43年入省)の名前が挙がっている。
そもそも安倍晋三首相は、官僚の中でことのほか信を置く外務省の谷内正太郎氏(44年)を、事務次官を退任する来年20年1月に的場氏の後任に据えるつもりだった。ところが、谷内氏が固辞し続けたため諦めた経緯がある。その後も、安倍首相は、年内にも発足する日本版の国家安全保障会議(JNSC)の初代事務局長(官房副長官級)への起用を打診したが、谷内氏は「学究生活への転身」を理由に固辞。来年4月から慶応大学法学部教授として国際法を教えることになるだろう。