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2009年12月号の読みどころ

2009年11月19日発行

[再国有化へ逆コース] 「斎藤郵政」破綻のシナリオ

大蔵省退官後も官の息がかかった組織を渡り歩いてきた斎藤次郎社長、自民党政権で「官邸の黒幕」と呼ばれた坂篤郎副社長。日本郵政の新布陣にはその上、「資本のハイエナ」の架空増資事件で常連だった人物まで入り込んでいました。民間から集めた「チーム西川」は跡形もなく、天下り解禁、郵政ファミリー温存は明白、郵政の再国有化、財投復活へまっしぐら。しかし郵貯事業が健全という再国有化の前提は誤っています。郵貯の本質は個人国債の売りさばき機関で、国の関与があれば運用は自由にならず、独立採算では存続できません……。税金のミルク補給がなければ、せいぜい15年で破綻という郵政に警鐘を鳴らすリポートです。


[企業スキャン] ヤマダ電機――忍び寄る「第二のダイエー」

家電量販店業界3位のビックカメラの牙城、東京・池袋の駅前に、1位のヤマダ電機が巨艦店「LABI1(ラビワン)日本総本店」をオープンしました。創業者である山田昇会長は「シェア3割、売上高3兆円」を広言。第二池袋戦争の裏で、ヤマダは売上高に対する販売管理費の比率が上昇し、高コスト体質に冒されています。原因は「LABI1」の家電にとらわれない店舗づくりに表れています。郊外型で頭打ちになり都市型大型店で中央制覇をもくろみますが、その拡大路線はバブル期のダイエーや西友が陥った業務多角化の弊害、高コスト化による経営体質の弱体化を彷彿とさせます。ヤマダ電機の浮沈は、系列店でつながるパナソニックにも影響を及ぼしかねません。


[長期金利に黄信号] 市場が復讐「鳩山放漫財政」

行政刷新会議の「事業仕分け」が精査する概算要求。億単位の見直しや廃止を決めていますが、財政の穴は数十兆円です。税収は下がる一方、鳩山政権の大盤振る舞いで歳出は100兆円突破も見込まれ、ワニの顎が外れそう。10月に入り、このままでは財政が持たない、と外国人投資家が中長期国債を売り始めました。単年度の赤字が積み上がっていけば、10年後の公的債務残高はGDP(国内総生産)の3倍にもなり、個人金融資産の総額も上回ります。財政危機への無頓着とマクロ経済音痴のないない尽くしで、市場には亀裂が走りつつあります。


天然ガス革命 北米の「福音」

「ガス大国」ロシアが急に揉み手になり始めました。リーマン・ショック後の世界的なエネルギー需要低迷だけではありません。陸上の油田やガス田の長年の採掘で先細りになっていた北米で「新たな巨大鉱床」が浮かびあがったのです。これまで採掘が難しかった非在来型ガスの採掘技術が向上し、安価な採掘が可能になったため、シェール(頁岩)ガスなどの生産が急増中なのです。場所は大消費地のすぐそば。カントリーリスクもない。米エネルギー省は2030年になってもガスはほぼ自給自足できると見通しを変えました。今年、米国のLNG(液化天然ガス)輸入は減り、天然ガス先物も最高値の3分の1にとどまっています。パイプラインで欧州にガスを供給するロシアは一転、安価なLNGの前に今年のガス輸出は一気に3割減。この「福音」、日本にはどう影響するのでしょうか。


[自民党の息の根止める] 破天荒「小沢流日本改造」の核心

政策決定は内閣に一任。議員の口利きは禁止し、地方や業界の要望は党本部が集約して一括管理する――。小沢流の「分権型の陳情改革」は民主党の都道府県連を窓口にし、地方から自民党解体をめざします。政治主導体制を強化する国会法改正、戸別訪問の解禁を柱とする公職選挙法の改正や企業献金の禁止も、大きな政治システム改革の柱に。民主党を鍛え上げ権力闘争を勝ち抜く「革命」で、小沢氏の支配は増すばかり。中心となって動く細野豪志副幹事長ら次世代も、勢いに乗っています。


11月25日以降、フリー・コンテンツを順次アップしていきます。