2008年12月号の読みどころ
2008年11月19日発行
土壇場でなぜリーマン・ブラザーズは破綻し、AIGは救済されたのか……。リーマンのファルド前会長が「墓場まで問い続ける」と語るのは、ライバルであるゴールドマン・サックスとゴールドマン出身のポールソン米財務長官から見殺しにされたとの疑念からです。そもそも米財務省とFRBはゴールドマン人脈に占拠され、証券会社への検査はロビイングで骨抜きにされていました。99年にパートナーシップから上場会社に転換して以来、今日の金融危機につながるゴールドマンの変質、米政府との癒着ぶりを徹底追跡します。
創業130周年を迎える09年3月期に、朝日新聞社が初の営業赤字転落へ。報道界に君臨してきた朝日が、広告と部数の激減という二重苦に苦しんでいます。読者調査では満足度や時代への対応で日経を下回り、新聞用紙の値上がりなども追い打ちをかけている状況。社内では「2020年委員会」なる組織が発足しました。12年後の経営を考えようという趣旨ですが、先行き不透明な時代は3年先ですら見通せるかどうか。「貴族制衆愚政治」の迷走に加え、頼みの不動産事業も景気悪化で暗雲が漂い始めました。
米大統領選で歴史的な勝利を収めたバラク・オバマ。しかし、当選が決まってもオバマはクールでした。「物事がうまくいっていても大喜びしない」と自ら分析する次期大統領は、かつてアル・カポネが支配したシカゴで政治感覚を養った人物。人々を熱狂させる「聖」の面と、冷静で老獪な「俗」の面を持ちあわせているようです。政権移行中の人事で早くも「俗」がかいま見える中、アジア外交、日米関係で主役となる実動部隊が誰になるか、注目されます。
永田町に新銀行東京の「口利き案件リスト」が出回っている。そこには与野党都議や国会議員の現職、OBの名がずらり。なかでも目をむくのは公明都議全員の名。都議会は公明党発祥の選挙であり、来年の都議選を重視して、年内解散にこだわっていた公明党にとってはショッキングな内容です。解散先送りを決めた麻生太郎首相に、その支持母体である創価学会を含め不満が強まっています。居酒屋で庶民性をアピールする麻生流に、トップリーダーの資質を疑う声が出ているのもその一端。このマグマは麻生政権の存亡に関わってくる可能性大です。
自民党有力議員から「地銀、第2地銀の自己資本比率に関するシミュレーション」という極秘データが流れています。銀行関係者が絶句したのは、健全性を計るものさしである自己資本比率が、景気の悪化や株価暴落で落ち込み、日経平均株価9000円で試算すると債務超過が9行も出現します。中川財務・金融担当相が銀行の自己資本規制について期間限定で緩和する考えを表明しましたが、このままでは地方で貸しはがしや貸し渋りが横行しかねません。FACTAは問題のデータを入手、一挙公開します。
9月中間決算の説明会で孫社長が「キャッシュフローは潤沢」と説明し、11月12日、ストップ高を記録したソフトバンク株。しかし、保有する債務担保証券がCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を合成した複雑な金融商品で、750億円の損失が出る目前の状態であることが明らかになっています。そこに霞が関に流れた衝撃の情報――孫社長が「チャイナカード」を切るのではないかというのです。中国最大の固定電話事業者「中国電信」との資本提携打診という情報に、傍聴や盗聴など国家安全保障の懸念が吹き出しましたが……。その真偽を本誌が追跡しました。
11月26日以降、フリー・コンテンツを順次アップしていきます。