2008年8月号の読みどころ
2008年07月19日発行
トヨタ自動車が7月10日、米国での生産体制変更を発表しました。ガソリン高騰とサブプライムの余波で売り上げが落ち込みから、大型ピックアップトラックやSUVを生産する工場が一部操業停止に追い込まれたのです。なぜここまで慌てているのか。実は今年1~3月期に、北米地域の連結決算は124億円の営業赤字に陥っていたのです。8月発表の4~6月期も危ぶまれます。ホンダや日産に比べて現地生産への判断が遅れ、米国市場に向けた新型車の価格設定でも、躓きました。新聞が怖々としか報じない“ドル箱市場”北米の惨状を詳しくリポートします。
iPhone(アイフォーン)をソフトバンクに奪われ、大金をかけて替えた割に新しいロゴはぱっとしない――。携帯が飽和市場になりつつあるなか、ドコモは漂流しています。意味不明のブランド刷新は、労務畑出身の中村維夫前社長が直轄部署としてつくったコーポレートブランディング本部の主導。技術畑の牙城は解体・格下げされ、社内は分裂して社員はやる気が失せるばかり。2年後の経営形態見直しを前にして、山田隆持新社長のもとでドコモはどこへ行くのか。膨れあがった人員の削減は必至と見られています。
華々しい発売のお祭り騒ぎばかり見ていてはわからないことがあります。ドコモを尻目に「アイフォーン3G」の販売権を勝ち取ったソフトバンクの株価が、発表後も足踏み状態です。市場は見抜いているのです。孫正義社長よりスティーブ・ジョブズのほうが一枚上手だと。売れば売るほどソフトバンクモバイルは初期の赤字が膨らむ不平等契約。ワンセグもヤフー・アイコンもない端末で、ソフトバンクは販売代理店のよう。
ブッシュ政権の“ベタ降り”で米国のテロ支援国リストから8月11日に除外される北朝鮮。核計画申告までの道のりでは、拉致問題が北朝鮮のトラウマとなっていたことが窺えます。福田政権が低迷する支持率のカンフル剤として、北朝鮮との裏取引を進めているのではないかと囁かれています。よど号犯の帰国だけで終わるのか、拉致被害者リストに載っていない日本人を帰国させることができるのか。「おこぼれ」をめぐって政治家らが動いています。
〔「矢野vs創価学会」の深層〕 小沢が「自民・公明」分断作戦
6月、矢野絢也元公明党委員長から話を聞く会合が議員会館で開かれました。集まったのは民主党ほか野党議員らで、テーマは矢野氏と創価学会との「政教一致」をめぐるゴタゴタ。国会での証人喚問まで示唆されました。民主・小沢一郎代表の狙いは、証人喚問カードで公明党を揺さぶり、自民党に愛想を尽かしている学会票を民主党側に取り込むことにあります。ねじれ国会で自民・民主が折りあえば、自公連立は不要になるという現実を踏まえ、不安に駆られる公明党の引っ張り合いが始まりました。
2回にわたって報じてきた電通裏金疑惑の第3弾。電通とアディダスの合弁会社、ISMMグループの元幹部6人に7月2日、スイスで判決が下り、3人が有罪となりました。国際サッカー連盟(FIFA)はじめスポーツ界のドンたちがISMMから手にした裏金は、総額1億5千万スイスフランにものぼります。その一つ、電通専務が実質オーナーとされる香港企業にも400万スイスフランが振り込まれていますが、本誌編集部はその足跡をついに突き止めました。この電通社内調査で「確認できない」とされた裏金プール会社は、専務の弟のバブル人脈に深く関わっていました。独走スクープの新展開です。
7月25日以降、フリー・コンテンツを順次アップしていきます。