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2010年2月号の読みどころ

2010年01月19日発行

[日本「失われた20年」] 増資出遅れ「みずほ」の爆弾

メガバンクが次々に巨額の増資に走り出しています。傷んだ金融システムを立て直すため、国際決済銀行(BIS)の委員会が昨年12月、中核的自己資本(ティア1)を普通株と内部留保に限定する新たな規制案を発表しました。貸し渋りを起さないため猶予期間がついてはいるものの、もともと邦銀はバブル崩壊以降、株式持ち合いに依存したまま、優先株での調達や繰り延べ税金資産に頼り、自己資本比率をかさ上げしてきただけに、世界の主要45金融機関のなかでは最低ランクと見劣りします。うかうかしていると国際業務から締め出されます。三菱UFJに増資に踏み切った三井住友は、持ち合い株を5千億円売却のうえ、ゴールドマン・サックスともいずれ資本提携解消となりふり構わずです。問題はみずほ、邦銀でもっとも脆弱な資本構造のうえ、旧都銀と旧興銀が水の油。最低でも2兆円と言われる増資に踏み切れるのか、連日徹夜で検討が続いています。


[企業スキャン] 日本空港ビル―オープンスカイの「寄生虫」

19日、日航がとうとう会社更生法を適用します。社員も役員もOBも実を削り、地方空港や納税者、政府も大きな痛みを負うことになりましたが、航空業界の阿鼻叫喚を尻目に肥え太る寄生虫がいます。羽田空港のターミナルビルの大家である東証1部上場「日本空港ビルデング」。世界でも有数の利用者数を誇る空港ターミナルを独占、空室率とは無縁の賃貸業にあぐらをかき、航空会社も出店テナントもため息ばかり。空港本体は赤字なのに利益をため込み、天下りを迎え入れ、社長が趣味で走ったホノルルマラソンも出張費が出るぬるま湯体質……。その呆れた実態をFACTAがリポートします。


[脱デフレ「やるやる詐欺」] 日銀は「テイラーの公式」逸脱

FACTA前号が日銀の「デフレ容認」を指摘したせいかどうか、昨12月、白川方明総裁は珍しくテレビ出演までして「物価下落を許容しない」と明言しました。そこでも「将来成長の低下予想」をデフレ要因に挙げる他人事のような風情。「ゼロ金利を粘り強く」と説明し、相変わらず量的緩和策には知らん顔。それで経済の素人はだませても、FACTAはだませません。景気と物価、政策誘導金利の関係を示した有名な「テイラー・ルール」に照らして、日銀の政策がどれだけ乖離しているかを試算しました。日銀の御用エコノミストがどうとり繕おうと明らかなルール逸脱の、画期的な証明です。さあ、どうする白川総裁。3月にテイラー教授を迎えて講演会を開くFACTAならではの挑戦です。


[日米同盟危機の本質] 普天間の死角「グアム移転」

昨年末、ワシントンの雪嵐の日、クリントン国務長官は日本の藤崎駐米大使を長官室に呼び、米軍再編ロードマップ計画の早期実施を望んでいると告げました。沖縄の普天間基地移設問題で鳩山政権の優柔不断と意思疎通の不調がオバマ政権の不信を招いているのは事実ですが、その裏で肝心のワシントンが何に気を揉んでいるか、「木を見て森を見ず」になりがちです。沖縄駐留海兵隊の主力をグアムに移転させるのは、太平洋に一大軍事ハブを建設しようとする壮大な米軍再編の一環であり、その費用107億ドルのうち日本が負担する60億ドルが宙に浮くことを懸念しているのです。日米外交・安全保障問題の権威、ジョージ・ワシントン大学のマーク・モチヅキ教授がFACTAへの特別寄稿で、嘉手納基地維持のために普天間の「妥協」を探る冷静な歩み寄りを提案しています。


[政治対霞が関「全面戦争」] 「小沢を討て」検察組織防衛

民主党の小沢一郎幹事長の政治団体「陸山会」の資金をめぐる捜査は、ついに通常国会開会の直前に、現職の国会議員である石川知裕元秘書の逮捕という事態に及びました。目を凝らしてみれば、会計処理で合法を装ったことで裏金が発覚した底の浅い疑惑です。小沢氏の自業自得であるとはいえ、底流には検察の小沢氏に対する嫌悪と、東北談合の摘発に失敗してきた過去の因縁の闘いがあります。さらに8月に定年を迎える樋渡検事総長の後任人事がこの春に控えています。「脱官僚」を掲げる鳩山政権、とりわけ小沢幹事長周辺では、目の上のタンコブである検事総長を民間人から選ぼうと“介入”する動きがあり、法務・検察は「権力への独立性を犯される」と組織をあげて小沢つぶしに出ました。その検察の「正義」に社会部マスコミが同調、例によってリーク合戦になっていますが、この政治対官僚の「最終戦争」は、国民そっちのけの天王山を迎えます。


1月26日以降、フリー・コンテンツを順次アップしていきます。