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2010年1月号の読みどころ

2009年12月19日発行

[日本経済の貧乏神] 白川日銀は「デフレ誘導」

OECD事務総長が発破をかけたからか、11月20日に政府は「緩やかなデフレ状況にある」と宣言しました。しかし3週間前に日銀はCPや社債の買い取り完了を発表して、リーマン危機後の緊急措置の「出口政策」へ動くなど、直前まで白川総裁がデフレ宣言など考えてもいなかったことがうかがえます。先進国の中でも最悪の35兆円にのぼるGDPギャップ(総需要と総供給の落差)が財政を圧迫、失業者を増やしているのに、それを埋める金融政策を出し渋り、鳩山首相との会談前日に発表した新型オペも「広い意味での量的緩和」とは名ばかり。「インフレ・ターゲッティング」嫌いの白川総裁が、実は「デフレ・ターゲッティング」を実行していることをFACTAが立証します。


トヨタが手放すKDDI株

根強い円高傾向のもとで、今期も営業赤字確定のトヨタ自動車。プリンス・豊田章男社長は本業への経営資源集中を進め、F1撤退や住宅事業切り離しや証券事業譲渡など、矢継ぎ早に切り捨ての荒業を行ってきました。その過程で「最終赤字回避」のウルトラCとして浮かび上がってきたのは、不要不急の保有株の売却です。最大の焦点はKDDI株。トヨタは49万余株(時価2400億円)を保有するKDDI第2位株主ですが、経営の主導権は京セラにあり、シナジー効果はほとんどありません。800メガヘルツ帯の引っ越しや3・9世代への切り替えコストで身動きできず、ウィルコムひとつ救えない京セラとKDDI連合にとってトヨタに見捨てられたら大変。通信業界に激震が走ります。


[企業スキャン] テレビ朝日――目算狂う新聞株「持ち合い」

先ごろ、朝日新聞社の村山美知子社主保有の同社株のうち7万4千株を、大阪の朝日放送が取得したことが発表されました。昨年のテレビ朝日への譲渡に続き、朝日新聞社が苦慮していた社主株の相続問題が順調に処理されつつあると見えますが、実は受け皿のテレ朝と朝日放送が、思ったほど頼りになりません。地デジ移行と広告激減で苦境のテレ朝は番組制作費圧縮や人減らしを進めているものの、問題は2社が属するANN系列の経営基盤の弱さ。後発の地方局はクラッシュもありうる状況で、キー局のテレ朝が支えられるか、朝日新聞のアキレス腱、株式問題は一難去ってまた一難の情勢です。


[中国ナンバー2訪日] 習近平脅かす「第5世代」暗闘

李克強副首相の「ポスト胡錦涛」が濃厚になる中、先頃訪日して天皇陛下と特例で会見した中国の習近平副主席。自らの権力衰退に歯止めをかけるための外遊に、日本は利用されたのかもしれません。後ろ盾の江沢民前主席は訪中した米オバマ大統領と会見できず、険悪な仲だったミサイル開発者の葬儀に出席してかろうじてメディアに露出するという〝落ち目〟。風見鶏だった幹部も胡錦涛側につきました。そんな中、3年後の「ポスト胡」をめざして習氏、李氏のほか革命第5世代の権力抗争は熾烈さを増しています。


[まさかの「小沢待望論」] 自滅する「菅国家戦略相」

相変わらず存在感の薄い国家戦略室。菅直人国家戦略相は12月刊行の自著増補版で「戦わずして勝つ」と気炎を上げましたが、現実には、攻めに出ようと経産省丸のみの経済成長戦略づくりを画策。また「デフレ宣言」の際は対策も戦略もなく、危機感の乏しさを露呈しています。戦略室の人間関係はギクシャク、日銀との折衝でも政治家たちはバラバラに動き回り、誰がマクロ政策の責任者かわからない状態。求心力なき副総理は内閣の致命傷になるのでは。失速する鳩山内閣の内実をリポートします。


12月25日以降、フリー・コンテンツを順次アップしていきます。