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2008年11月号の読みどころ

2008年10月19日発行

[大恐慌クライシス] 三歩先が見えぬ白川日銀

株価の大幅下落で大恐慌の危機に直面した世界は、ワシントンのG7会議で異例の行動計画を発表後、間髪を容れず米欧は大がかりな金融機関への資本注入策に踏み切り、日米欧の中央銀行によるドルの無制限の供給などで、心停止状態の市場を蘇生させようとしました。しかし株価の急反発は1日だけ、欧米の銀行間市場の金利も高止まりしています。そのなかで、米欧主要国から中国、香港まで世界が一斉に踏み切った協調利下げに参加しなかった日銀の「孤高」が目立ちます。「金利はすでにきわめて低い」という理由で、なけなしの0.5%を守ろうとする姿勢が、米欧との金利差縮小で円高にはね返らないか。その感度の鈍さをFACTAが批判します。


[企業スキャン] 三菱UFJグループ――畔柳社長「大勇断」の内幕

MUFGが米証券界の雄、モルガン・スタンレーに90億ドルという巨額の出資を決断しました。資産査定も不十分、株価は急落という環境のなかで「千載一遇のチャンス」と慎重居士の畔柳社長を決断させたのは何か。90億ドルで全株が買えるまで追い詰められたモルスタに、ニューヨークの市場では「三菱撤退」の噂も流れましたが、結局、全株を優先株にして出資したのです。そのモルスタに米政府は直ちに資本注入を行いました。日米金融史に残る大買収の舞台裏をお伝えします。


[史上空前の増産ラッシュ] 「太陽電池バトル」日本勢の勝算

温暖化対策の決め手として、CO2を排出しない太陽電池が脚光を浴び、世界中で増産競争が始まっています。これまで日本勢は石油ショック後の「サンシャイン計画」により太陽電池開発で優位に立ってきたものの、05年に政府補助が打ち切られたため家庭用発電装置の販売が大きく減少し、発電容量トップの座をドイツに明け渡しました。韓国も力を入れ始めた中、期待される「薄膜型」の量産や法整備で態勢を立て直せるのでしょうか。


[世界は「無極」のカオス] 「超大国アメリカ」退場の衝撃

アメリカの衰退は経済だけではありません。アフガニスタンの治安が悪化の一途をたどり、9月にはブッシュ大統領が米・NATO両軍司令部に全面的な戦略見直しを命じました。英軍最高司令官も「我々はこの戦争に勝てない」と発言、NATO同盟国の間にもタリバンとの和平交渉を求める声が強まっています。もう一方のイラクは劇的に治安が回復したといっても、じつはスンニ派にカネをばらまいてきたから。それもシーア派マリキ政権の巻き返しで10月から大なたがふるわれそうです。そうなればテロ勃発で元の木阿弥。超大国アメリカが主導してきた対テロ戦争で、主役の凋落と敗北の徴は避けられない。世界は「極なき世界」に備え始めました。さて、日本は……。


[さようなら、純ちゃん] 「小泉突如引退」の深層

先月、突如政界引退を表明した小泉純一郎氏。元首相をめぐる「小泉新党」「政界再編」の噂は、いったい何だったのでしょうか。短期間で退陣した安倍・福田両首相、腹心・飯島秘書官の退職、氏をアテにするチルドレンや「改革派」の動き、そして先の自民党総裁選。衆院選を前に、元首相の周囲で何が進んでいたのか。政界のさまざまな思惑を浮き彫りにして、人気者、小泉氏の虚実に鋭く迫ります。


[政権をオレによこせ!] 土壇場で小沢に「勝負手」

金融危機の奔流に流され、衆院選の日程を先送り。党首対決でリーダーシップをアピールする麻生首相ですが、状況を分析してみれば政権行き詰まりのは時間の問題。たとえ衆院選で自公が過半数を取ったとしても、衆参のねじれ体制は解決できないのです。民主党の小沢代表が「たとえ第一党になれなくても政権交代をめざす」と公言するのはなぜか。「何かやらかしそうだ」と周囲の期待が高まる中、体調不安を抱える小沢氏の次の一手は……。


10月27日以降、フリー・コンテンツを順次アップしていきます。