2007年12月号の読みどころ
2007年11月20日発行
01年合併時のどん底から劇的回復を遂げた小野寺KDDI。4期連続の増益で、足踏みするドコモに追いつく勢いかに見えますが、ドコモはなぜか楽観しています。KDDIには隠れたアキレス腱があるのです。そのひとつが2012年の周波数再編。周波数引っ越しの移行期に、KDDIはこれから数年間、兆円を超す設備投資を余儀なくされます。また「遅れてきた帝国」がうまい汁を吸えないうちに叩かれる矛盾は、接続料問題でみせる小野寺氏の豹変と軌を一にしています。そのKDDIの弱点を徹底分析しました。
総投資額1兆円のシャープ堺工場の建設工事が始まりましたが、関西国際空港建設工事の二の舞になる恐れがでてきました。下請け業者と目されるリストの中に、ハンナングループの別働隊とささやかれる業者や、関空2期工事で批判された共和海建など、地元で怖がられる業者が顔を並べていたからです。捜査当局も暴力団のフロント企業の動きに目を光らせています。「山口組6代目の出身母体である名古屋の弘道会が大阪進出の橋頭堡にするのではないか」と大阪府警も言うほどです。
小沢代表の辞任騒動によって頓挫した大連立構想。「仕掛け人」と目されたのは読売新聞グループ本社会長の渡邉恒雄主筆ですが、肝心の福田・小沢両氏の間を取り持ったかどうかについては堅く口を閉ざしています。関係者の証言から、意外な「陰のキーマン」が浮かび上がりました。「10年に1人の大物官僚」と呼ばれた元大蔵事務次官、斎藤次郎氏です。巷で伝えられる党首会談の顛末の裏側にあった仕掛けが、明らかになりました。
年末の予算編成を前に、自民党の財政改革研究会が主導する消費税引き上げ論議。「総選挙が近いから増税はできないと言えば、いつまでたってもできやしない。どうせ選挙に負けるなら消費税率をドーンと上げてしまえ」。財革研会長の与謝野氏が「正論」の旗を振る一方で、反対勢力の中川秀直前幹事長ら「上げ潮派」も黙ってはいません。訪米前の首相はとりあえず論議に封印しましたが、政権の足元を揺さぶる事態になりかねません。
11月はじめ、ニューヨーク・マーカンタイル取引所で原油先物相場は、指標が一時1バレル97ドル台と、まさかの「100ドル」が目前です。金、食料などの商品市況も急騰しています。国際通貨基金が主要国の成長見通しを下方修正する最中で、この急騰は不可解な現象です。これは1970年代のスタグフレーション(不況下のインフレ)再来の兆候でしょうか。新興国の台頭、産油国のドル離れなど新たな要因もあり、現代版スタグフレーションの内実をいち早く分析しました。
中国共産党第17回大会は、胡錦涛・国家主席兼党総書記の勝利で終わったわけではありません。胡首席が基盤とする団派(共産主義青年団グループ)が、江沢民・前主席が足場にしてきた上海閥と、曾慶紅国家副主席を筆頭にした太子党と妥協した「三派鼎立」の構図です。曾慶紅引退と引き換えに、太子党の習近平が中央書記処第1書記に任命され、団派の李克強は、その後塵を拝したのが真相です。他では報じられない中国人事の暗闘を徹底レポートしました。
11月26日以降、フリー・コンテンツを順次アップしていきます。