2007年8月号の読みどころ
2007年07月20日発行
7月29日の参院選後、政局はどう動くでしょうか。勝敗ラインをぼかすなど安倍首相は居座る構えですが、お粗末なメディア対策で情報から隔絶され、人事でも破綻に追い込まれただけに、永田町では選挙結果を待たず早くも「安倍政権は終わった」との声が出始めています。参院選後のキングメーカーを目論むのは森喜朗元首相と青木幹雄参院議員会長。お盆休み前までの決着を図りますが、2人の念頭にあるのは麻生太郎外相への「禅譲」か、あるいは対抗勢力が推す「小泉再登板」や「福田かつぎだし」か。
メガバンク「最後の花嫁」に第一生命や日本生命、T&D保険グループとの提携交渉が表面化しましたが、本命は銀・証連合。しかし細川英二会長(りそなホールディングス)の意中の相手は、旧大和銀行と同根の野村証券だった。現に一部では包括提携交渉が報じられましたが、両者とも全面否定。なぜ、りそな・野村の提携は暗礁に乗り上げたのでしょうか。今後3年程度で公的資金を返済する見通しが立ち、細川会長は「自らの手で再生を成し遂げたい」と野心満々。3大メガバンクに対抗する一大勢力となり、金融庁の介入を封じ込めたいという強すぎる執念は、野村にも「あくまで対等」を主張したのです。
6月3日、共同通信が流した「温家宝首相が来春以降の続投を固辞」との報道に対し、中国外務省は「無責任なデマ」と抗議しました。しかし火のないところに煙立たず。秋の第17大党大会(17大)では、温首相や引退必至の4人の副首相(うち1人は死亡)の後継をめぐって党中枢の権力闘争が正念場にあることを反映しています。温一族へのプレッシャーも高まっています。黄菊副首相の重篤と死亡をいち早く指摘した中国人権民主化運動情報センターの盧四清主席が、秋の首脳人事の最深部をえぐります。
続いて、各分野の目玉記事です。
6月29日の閣議後会見で外準の積極運用と分散投資を示唆した山本金融相発言は、最悪のタイミングでした。長らく低位安定が続き、グリーンスパンFRB前議長に「コナンドラム」(謎)と言われてきた米長期金利が上昇(国債相場下落)しているさなかだからです。長期金利を“解凍”させ、過剰流動性が収縮に向かっている原因は何なのでしょうか。景気よりも米国債の売り本尊――中国が引き金? それがサブプライム(信用度の低い人)向け住宅ローンの焦げ付き急増で、大手証券などに広がってウォール街を揺さぶっています。
不正請求で退場を余儀なくされた介護サービスの子会社「コムスン」だけではありません。折口雅博会長率いるグッドウィルグループには、もっと濃い疑惑の暗雲がたちこめています。昨年11月に人材派遣最大手クリスタルを買収しましたが、そこに介在させたファンドの不可解な資金の出し入れで、383億円もの巨額のカネが闇に消えているのです。捜査当局や証券監視委員会も重大な関心を寄せています。
新車に乗った時に出るくしゃみ、鼻がつんとする、頭痛や眠気、吐き気、といった諸症状の原因が、主に自動車の内装の材料に含まれる100種類を超える有毒な化学物質にあるという衝撃の研究結果が出ています。大手メーカーは密かに対策を講じはじめたものの、厚労省が規制対象にしている13種類の化学物質しか対応できておらず、規制外の化学物質は「野放し」状態となっています。
8月号のフリー・コンテンツは以下の12本です。7月25日以降、順次アップしていきますので、ぜひお読みください。
【7月25日掲載】
哀れ、街に溢れる「貧乏歯医者」
何と5人に1人が年収300万円のワーキングプア。行政の対応も「焼け石に水」の悲惨な実態。かつての「儲かる職業」の面影はいずこへ…。
田勢康弘コラム「硯の海 当世言の葉考」~宮沢さんの無愛想の魅力
強烈な知性を放った故・宮沢喜一氏の無愛想。そのたまらぬ魅力を当代一の政治記者が綴る、珠玉の評伝。
主要50雑誌の「部数激減(秘)データ」
元気なのは経済誌だけ。業界トップとなった小学館でさえエビちゃんに頼る「総負け」の惨状。
【7月26日掲載】
朝日とグッドウィルの蜜月
参院選を前に、「選挙に強い」はずの朝日新聞が右往左往。なんともお粗末なその理由。
民主党の「黄門様」が「七奉行」結成に動く
動き出した「アンチ小沢」同盟計画。小沢陣営にとっては、かえって好都合!?
【7月27日掲載】
家電量販店のノジマが「ラオックス」買収に動く
生き残りを懸け、M&Aに活路を求めるノジマ。拡大路線に拍車がかかるか。
小沢一郎にあてつけ人事
小沢氏の仇敵が、「地域力再生機構」の詳細を決める研究会座長に。
【7月30日掲載】
社保庁ソフトを実費受注NTTデータの魂担とは
NTTデータが改心したと思うのは早計。大儲けが約束されている。
金正日がライス長官と握手する日
核開発凍結へ草木も靡く「対朝宥和」。米韓のイニシアチブで、安倍外交のバランスシートは?
【7月31日掲載】
緒方元長官のカギ握る投資家の「過去」
1100万円の損害賠償に女子アナとの不倫。当時は「ベテランパイロットの青年実業家」だった。
MI5長官の執念死者のDNA鑑定も
テロ容疑者を探し、自ら遺体を発掘し続けたMI5長官の凄まじい徹底ぶり。
小池防衛相起用で蚊帳の外情けない町村信孝会長
総裁派閥の領袖とは思えない情報不足で、赤っ恥。