社保庁ソフトを実費受注 NTTデータの魂担とは

2007年8月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]

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NTTデータが対象者のわからない約5千万件の年金記録を照合するプログラムの開発を社会保険庁から実費で受託するという。

NTTデータはこれまで政府が構築する大規模なシステムを随意契約で受注し、おいしいビジネスを続けてきた。年金問題でも濡れ手で粟を繰り返せば世の指弾を受けるのは必至のため、今回ばかりは商売抜きで引き受けることにしたようだ。

NTTデータが改心したと思うのは早計だ。政府は40歳以上の国民にメタボリック症候群対策の「特定健診」を受けさせるよう健保組合に義務付けたが、このシステムは対象者が膨大で、しかも来年4月から運用開始となる。まだシステムができあがっていない健保組合や自治体が多く、すでにNTTグループ向けに20万人規模のシステムを構築済みのNTTデータは、これを雛形に各団体の実情に合わせて手直しして販売する目論見だ。対抗馬はほとんどいないので大儲けが約束されている。年金向けのシステムで儲からない汗をかいても、痛くもかゆくもないのである。

   

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