2010年4月号の読みどころ
2010年03月19日発行
世界で1千万台に達したトヨタのリコール問題。創業家の御曹司、豊田章男社長は就任1年足らずで国内外の批判の矢面に立たされました。孤軍奮闘の社長の一方、記者会見などではトヨタの対応に失態も見え、歴代と違って社長を支えるよき番頭が見あたりません。しかし、とりもなおさずそれは章男社長自身の人選でもあったのです。昨年、社内に誕生した「明日のトヨタを考える会」は章男氏を支えるいわば「親衛隊」。その後も社長直属の組織が次々に生まれています。トヨタ内部で何が起こっていたのか……。社内に萌芽していた危機の深層を追うスクープです。
[「メガバンク解体」の始まり] みずほの「ラスプーチン」粛清
みずほフィナンシャルグループの小崎哲資副社長が今月末で退任します。前田晃伸会長の威光をバックに「ラスプーチン」と呼ばれるほどの権勢を誇ってきた小崎氏。金融当局もその力量を認める最高財務責任者が、突如失脚したのです。折しも自己資本比率の規制強化により、みずほはメガバンク脱落の危機。非効率な2バンクモデルにグループ3社6人の会長・社長を抱え、金融庁に「なんとかしろ」と指摘された矢先の出来事でした。椅子にしがみつく三会長の退陣という「猫のクビに鈴」をつけようとしたとたんの失脚。お家の一大事に人事抗争が勃発するみずほのガバナンスを徹底追究します。
3月23日に創刊する日本経済新聞「電子版」。日本の新聞業界で初の本格的な電子版参入に、早くも1万5千人以上の申し込みが集まっていますが、当の日経の顔色は芳しくありません。紙をやめて電子版単体にするという購読者が予想以上に多いのです。電子版の広告単価は紙の1割。紙と購読者を共食い(カニバリズム)することになれば、広告収入に跳ね返ります。また販売店や紙の部数を守るため、価格設定は海外の新聞と比較して高額。矛盾をはらみ、新聞再販制度をゆるがす破壊力を秘めています。
仙谷由人国家戦略担当相が、国民の「幸福度」調査に乗り出すと発表しました。ヒマラヤ南麓のブータン前国王が唱えた「国民総幸福度」を手本に、鳩山政権は国力の新たな指標を開発するといいます。少子高齢化と巨額の財政赤字の中で、夢想家が現実逃避するような政権中枢ですが、一方で「大事なのは成長」と主張するのが意外にも菅直人財務相兼副総理。にわか勉強で「新・上げ潮派」の趣です。マクロ政策をめぐるポストの線引きはあやふやで、法改正でも「双頭の鷲」は解消しません。水面下ではさや当ても起きている仙谷氏と菅氏、さてどちらが成長戦略の司令塔なのか。混迷する政権の行方は……。
「ヒマラヤの氷河が消える」と地球温暖化に警鐘を鳴らし、世界の環境派を鼓舞してきた国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)。その未曾有のスキャンダルが暴露されました。科学的根拠のない予測やデータの隠蔽が明るみに出ただけではありません。議長であり、アル・ゴア元米副大統領とともに07年ノーベル平和賞を受賞したラジェンドラ・パチャウリ博士は、IPCCトップの地位を利用し、トヨタを含む全世界の大企業からアドバイザー名目で巨額の資金集めに走り、ビジネス帝国を築いていたのです。IPCC報告書の信憑性も揺らぐ深刻な「利益相反」。博士の仮面を暴いた英紙記者が、FACTAに特別寄稿してくれました。
3月25日以降、フリー・コンテンツを順次アップしていきます。