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2009年9月号の読みどころ

2009年08月19日発行

[マネー「麻薬漬け」経済] 景気「二番底」はあり得る

米FRBが景気の下げ止まりの判断を示し、エコノミストたちが明るい予測を打ち出していますが、本当でしょうか。米企業の業績はリストラで最悪期を脱し始めていますが、アメリカの家計が保有する住宅資産はピークから4兆ドルの減少、背負った債務残高は13兆7千億ドルで名目GDPに匹敵します。こうした過剰債務の重荷がある限り、政府の補助金が切れれば、自動車販売などが失速するのは明らか。実は「財政の麻薬漬け」が生んだ一時的現象の懸念が消えません。景気「底打ち」宣言をした日本も、中国のバブルが息切れせず、内外の最終需要や設備投資の回復がなければ、来年腰折れの可能性があります。


[企業スキャン] ソニー ――「ストリンガー独裁」の病魔

ソニーは09年第1四半期の決算説明で、リストラ費用を除けば233億円の営業黒字だったと喧伝、「思いのほか業績は堅調」と強調しましたが、目先持ち直しても3年先の収益源が見あたりません。ことにエレクトロニクス部門は、優秀なエンジニアをリストラし、開発中の新技術に早々と見切りをつけて資金回収を優先という、かつてのソニーではあり得ない状況です。こうした愚挙に走った中鉢良治・現副会長の背中を押したのは、コスト削減を迫るストリンガー会長兼CEOとその側近たち。価値観の異なる人材を排除する独裁政権が、モノづくりを大切にしてきたソニー魂を抹殺しようとしています。


三井住友「ポスト奥」の暗闘

三井住友フィナンシャルグループの役員人事で、16人の経営会議メンバーのうち旧住友銀行出身者が10人となる「事件」がありました。旧三井銀行と対等配分の「統合の証」が崩れたのです。この役員人事を押し切ったのは旧住銀出身の奥正之頭取。親三井企業からは不満が噴出しています。しかし皮肉にも、奥頭取が「住友支配」の野望実現に動いた結果、経営会議メンバーに大本命の国部毅専務の同期が6人も並び、旧住銀出身役員の次期トップ争いが激化。大本命への酷評が漏れ出しました。ポスト奪還を狙う旧三井出身者も黙ってはいません。


[「英国流」政治主導の野望] 危うい鳩山政権「5原則」

民主党マニフェストにある「鳩山政権の政権構想5原則」に、霞が関の目が釘付けです。自民党政権では長年、本来一体の与党が内閣を指導してきた二重構造がありました。鳩山代表はこの二重構造にピリオドを打ち、政治家主導の政治へと言い切ります。さらに掲げるのは小泉元首相が志向し、その後の首相が引き継げなかった「官邸主導」。小泉流を超え、英国流の権力操縦システムを定着させるという野心がみなぎっています。これが定着すれば政権交代の意義があるものの、問題なのは小沢氏が闇将軍として君臨しかねない懸念。民主党内でも党運営の実権をめぐり暗闘がすでに始まっています。


[上山信一教授の野望] 橋下徹を操る「影の知事」

「地方分権」で注目を集める橋下徹大阪府知事に知恵を授け、操り人形のように牛耳る人物がいます。昨年、府の特別顧問に就任した慶応大学教授の上山信一氏。今年新設された改革評価委員会のメンバーですが、旧運輸省から外資系コンサル、マッキンゼーに転じた経歴で、「学者というよりプレゼン能力で自治体に入り込んできた商売人」。委員会の実働部隊となる5人の特別参与の人事では「上山氏の推薦を知事が丸呑みして」4人がマッキンゼー出身、しかも守秘義務を課されない無報酬の位置づけです。無報酬で彼らが汗をかく理由は何なのか。朝日新聞も“籠絡”した上山マジックにメスを入れます。


8月25日以降、フリー・コンテンツを順次アップしていきます。