2008年1月号の読みどころ
2007年12月19日発行
「何から何まで業者にたかろうとする組織が防衛省だ。これほど腐りきった役所は見たことがない」。検察幹部はそう吐き捨てます。山田洋行をめぐる防衛省汚職事件は大物事務次官の逮捕で終わりません。東京地検特捜部は11月中旬、「防衛利権の黒幕」と目される人物の仕切る団体事務所を家宅捜索しましたが、この黒幕が受注した遺棄毒ガス弾処理の調査事業を突破口に、関連の政治家に照準を絞っています。また沖縄の米軍基地移転絡みでも設計図漏洩が起きており、そこにもメスがあてられようとしています。
自民党本部は密かに衆院300選挙区の選挙情勢調査を行いました。その詳細データが「厳秘」とされたのは、結果があまりにもひどすぎたから。「自民党は100近く減らして200議席を割り込み、第一党の座を民主党に奪われる可能性が十分にある」と関係筋は語ります。自公で過半数に達しないなら、衆参両院で比較第一党となる民主党を軸に政界再編へと動き出す可能性が出てきました。
「山田洋行」に端を発した防衛省汚職でにわかに注目を集めているのが、日本最大の軍需メーカー、三菱重工。政界筋では知られた軍事フィクサーが検察の標的になっていますが、大手商社関係者によれば「このフィクサーのスポンサーとなり、後ろ盾となっているのが三菱重工」。30年以上もミサイルの設計や営業にかかわってきた政界担当者も聴取を受けたとされ、「国策会社のスリーダイヤ」が揺れそうです。
サブプライムローンの阿鼻叫喚が続くなか、欧米金融機関は700億ドルもの損出を計上しましたが、アナリストの間では「損失は最大5千億ドル」、日本円で55兆円という数字も独り歩きしています。これはいわば米国型市場経済の複合汚染。現場の融資営業が詐欺的であろうが、担保になる住宅の価値が嵩上げされていようが、格付け機関によって人為的に価値を決められ、ウォール街によって世界各地に転売されていくのです。米国では社会に対する裏切り行為に厳罰が科されるだけに、ウォール街に責任追及の火の手があがりそうです。
ヒル代表とライス国務長官は成果を焦るあまり北朝鮮に譲歩を繰り返し、非核化の第2段階はどうやら空手形になりそうです。米ジョージ・ワシントン大学のヤン・C・キム名誉教授は「こうしたアプローチでは、北に核兵器を完全放棄させる目標を達成できない」と断言します。ブッシュ政権は1月にもテロ支援国指定を解除する見通しで、日本はどうすればよいのか。名誉教授自身の寄稿で、日本の選択肢を示します。
<「マスコミ志願者」必読>格差歴然 新聞52社「ボーナス一覧」
新聞社の冬のボーナス一覧が、マスコミで報じられることはほとんどありません。ここに載せたのは、朝日、毎日、読売、日経の大手紙と、各地のブロック・地方紙の労組が加盟する「新聞労連」の内部資料に本誌の独自取材を加えたものです。特筆すべきは、日経が朝日を抜いてトップに躍り出たこと。「冬の時代」を迎えたといわれる新聞各社の懐具合が手に取るように分かります。
12月25日以降、フリー・コンテンツを順次アップしていきます。