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2006年11月号の読みどころ

2006年10月20日発行

(1)北朝鮮「局部攻撃」の選択肢
安倍晋三首相が中国と韓国を歴訪中の10月9日、北朝鮮が「地下核実験に成功した」と発表、東アジアの戦略風景は一変しました。機能不全に陥っていた「6カ国協議」システムの破綻を告げ、日米中韓ロの参加5カ国の計算違いを白日の下にさらしました。

最大の誤算は中国でしょう。6カ国協議の機能不全はむしろ思う壺、アメリカがイラクで身動きならない「鬼の居ぬ間」に北朝鮮の「火遊び」を黙認、自国に有利に図ろうと「アメリカを押し留める」策を講じてきました。その内部レポートを軸に、中国の思惑違いを生々しく追跡します。

そのあげく、ライフラインを握っているはずの中国に対し、北朝鮮は核実験の20分前に通告という仕打ち。「2時間前」のロシアよりも冷遇されました。日中首脳会談で「北朝鮮に自制を働きかける」と安倍首相に請け合った胡錦涛主席のメンツはつぶれ、その怒りから国連安保理の制裁決議に賛成票を投じました。

しかし国連憲章第7章42条で軍事制裁に道を開くことには、さすがに中ロとも抵抗し、本音ではイラク、北朝鮮、イランの3正面作戦に陥りたくないアメリカもそれを飲んで、非軍事制裁にとどまりました。それでも、海上での船舶臨検が可能になり、黄海と日本海は緊迫した状況に置かれます。臨検の次に来る選択肢は……。


(2)<企業スキャン>日産自動車――「ゴーン革命」の末路
「ゴーン・マジック」のメッキが剥げかけています。奇跡の復活を称賛された日産自動車ですが、国内、北米市場ともに販売不振が続き、07年3月期の第1・四半期決算では営業利益率が急降下、6%台に転落しました。10月半ばには米GMとの提携交渉も決裂。交渉の前にGMは、日産の主力車を数台購入して解体し、部品一つずつの品質について調べたといいます。そこで彼らが発見したのは、いたるところに残るゴーン氏の厳しいコスト削減の「爪痕」でした。「技術の日産」はどこへやら、目先の利益に気をとられるあまり、環境対応のハイブリッドカーの開発競争や排ガス規制にも出遅れる始末。日産が誇るROIC(投下資本利益率)の高さにも疑惑が浮上しています。不振の元凶は何なのか、そして、誰が販売不振の責任を取るのか……。「ゴーン革命」という「錬金術」の綻びをとことん追跡します。


続いて、各分野の目玉記事です。

(3)野村とソニー「夢なき提携」の芽
野村ホールディングスのネット証券「ジョインベスト」が、5月にスタートしたものの、出足から不振が続いて早くも身売り先探しを始めた模様です。なにしろ口座数はまだ7万、9月末の月間売買代金は最大手のイー・トレードの3%にも及びません。はやくも厭戦気分が漂い始めましたが、東証会員権を得る来春までは、幹部の責任問題になることを恐れて腫れ物に触るよう。しかし水面下では「しかるべき時期に(ネット証券撤退の)メドをつけたい」という声が聞こえてきます。お相手には、休業中の沖縄の海洋銀行を買ってネット証券進出をめざすソニー銀行が浮上しています。その行方は……?


(4)<集中連載>六本木ペニンシュラ-町井久之の戦後史・中   ~力道山が紹介した「黒幕」
戦後、暴力団東声会会長として一世を風靡した在日韓国人、故町井久之の生き様に迫る連載です。先月号の<上>に続き、彼が敗戦直後に頭角を現し、日韓の政治の舞台裏で暗躍する実力者にのし上がるまでの歴史をたどります。民団(在日本大韓民国民団)と総連(在日本朝鮮人総連合会)の流血の歴史の中で、持ち前の腕力と度胸で地歩を固め、「銀座の虎」の異名をとるまでになった彼の傍には、常に、深い結びつきを持って影響を与えあった男達がいました。その代表格が「政財界の黒幕」児玉誉士夫、そして、彼を紹介したプロレスラー力道山でした。やがて町井は山口組三代目組長、田岡一雄とも兄弟盃を交わします。


(5)中国「過剰設備」の元凶
本誌9月号で、中国の経済過熱の元凶のひとつとして「土幣」本位経済を取り上げました。今回はその続編。ビルや工場の過剰建設といった中国の「能剰」(設備過剰)の宿痾が発生するメカニズムを追います。なぜ低水準の重複建設、過剰投資、過当競争の果てに価格暴落、収益悪化、設備の大量遊休化に陥りやすいのか、市場経済化が進む今でも「一放就乱」(放任すると混乱に陥る)が発生するのはなぜなのでしょうか。北京大学中国経済研究センター・周其仁教授が、破綻して獄中にある鉄本鋼鉄の叩き上げ起業家に、直接インタビューして掴んだ真相から、中国経済の最近の過熱が軟着陸できるかどうかという問題を洞察できます。


(6)「党高政低」中川秀直の怪腕
新政権の発足からまもなく1カ月。未だに政治の力学が小泉政権とどう変わったのか、本質的に解き明かしているメディアはありません。「官邸強化」を掲げた安倍政権最初の組閣・党人事は看板とは逆に、政策決定の重心が小泉時代の「政高党低」から「党高政低」へ移行していますが、それは安倍首相が意図したものではなく、小泉政権末期に形成され、図らずも継承されたものでした。安倍首相は、世論と外国向けのタレント宰相でしか無いのです。実権は前代未聞の「醜聞」政治家、中川秀直氏が握ったと言って過言ではないでしょう。


(7)安倍晋三の「B級タニマチ」
安倍晋三の周辺を見渡すと、親戚を除けば意外に財界エスタブリッシュメントとの交友範囲は狭く、権力の蜜に群がる自薦他薦組ばかり。彼自身が形成したタニマチは亡父の金脈とは微妙な断層があり、むしろ秘書生活のしがらみが招き寄せたB級経営者が多いことがわかります。「安晋会」「慧光塾」――それぞれの主宰者2人がかもし出す怪しさ、そしてベンチャー企業との付き合いも、政治とカネの分断が一筋縄でいかないことを物語ります。


11月号のフリー・コンテンツは以下の5本です。10月25日以降、順次アップしていきますので、ぜひお読みください。

10月25日掲載
★KDDI幹部突如退任の「変」
KDDIのCIOが10月1日付で謎の退職。技術屋集団で何かが起きた。

10月25日掲載
★小沢一郎の「本当の病状」
専門医の見立ては心不全・重症度Ⅲ。安静にしなければ、明日をも知れぬ。

10月26日掲載
★デジタルラジオでこけたFM東京
主導権を握ろうと欲張ったあげく、空き帯域のアテが外れて上場もパー。

10月27日掲載
★リクルートで「内紛」 人気「R25」編集長が独立か
上層部の多角化路線で誌面ミスが頻発。編集長の怒り治まらず。

10月28日掲載
★糸山氏の「男のロマン」にたじたじの日経
糸山英太郎氏が日経に「宣戦布告」。テレビ東京の大株主に躍り出た。