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2006年7月号の読みどころ

2006年06月20日発行

(1)ビックカメラの神通力
村上ファンドのインサイダー取引事件は、ヴェールがはがされるにつれ、もうひとつの不思議な企業の素顔を浮かびあがらせました。ニッポン放送、TBSと二大メディア株に先鞭をつけた村上ファンドと交錯して、買収防衛戦の攻守両方に登場するのが、あのおなじみのテレビCMソングで知られるビックカメラなのです。

新井隆司会長は兜町などでは「タニマチ」として知られる存在ですが、1999年に村上氏が当時の通産省をやめてM&Aコンサルティングの設立した時には、オリックスの宮内義彦会長らとともに出資者に名を連ねた「村上ファンド生みの親」。ところが、ライブドアがフジ・サンケイグループ買収に名乗りをあげるや、日枝久フジテレビ会長と親しい新井氏は、ファンドから資金引き揚げを言い渡したといいます。

その半年後、村上ファンドの次なる標的にされたTBSは買収防衛策の第2弾として第三者割当増資を発表しますが、その引き受け先4社の一角にビックカメラが突如登場します。まさに神出鬼没、新井氏とビックカメラの神通力は何が源泉なのでしょうか、その人脈にはじめて光をあてました。


(2)村上ファンドの「原罪」
もうひとつ、村上世彰氏の実像をえぐる記事。欧米流アクティビストとして彗星のごとく登場した「モノ言う株主」は、しかし別の顔があります。「村上銘柄」を仔細に調べると東京スタイル、ニッポン放送、TBS、阪神電鉄のような「株主価値の向上」をアピールする華々しい銘柄に交じって、中古車販売のジャック・ホールディングス株、平成電電のドリーム・テクノロジーズ株といった「サヤ抜き銘柄」が存在していたことがわかります。そこでみせる村上ファンドの手口はあざといの一語に尽きます。このほか、小菅拘置所の先輩にあたる堀江貴文ライブドア元社長については、「ホリエモン無罪も有り得る」(p20-21)という関連記事もあります。


(3)知られざる才幹「福田康夫」
小泉総理がこだわったおかげで、「会期延長なし」のまま通常国会は閉幕しました。いよいよ、自民党総裁選の「暑い夏」。若手議員を集めてみこしを繰り出す安倍陣営に比べて、「静かなる男」福田康夫はいったい何を考えているのか。官房長官を辞するまで、小泉・安倍コンビとの確執はほとんどが外交をめぐる衝突でした。官房機密費を一手に握っての工作・情報収集、中曽根康弘との歴史的和解にこぎつけた合理的選択や根回しの手腕、ネオコン嫌いでありながらイラク戦争指示を断固、進めた冷徹さ――。こうした実績を踏まえつつ、権力への執念をむきだしにしない福田氏の、政権取りへの2つの道とは……?


続いて、各分野の目玉記事です。

(4)「ドル安」もポールソン流
ゴールドマン・サックスのヘンリー・ポールソン会長兼CEOが米財務長官に指名されました。ウォール街からの指名は10年ぶり。ドルの信認が揺らぎつつある中、新長官の下でドル相場はどう動くでしょうか。円やユーロに対しては下落しても、対新興諸国通貨ではドルの調整は進んでいません。対円よりむしろ対人民元で調整が必要なのですが、まかりまちがえばガラ(崩落)。ゴールドマン出身の新長官ならではの「大仕掛け」を大胆に推測します。


(5)企業スキャン「三洋電機」――前代未聞の「おままごと」経営
元キャスターの野中ともよ会長を目くらましに、井植ジュニアを社長に据える世襲人事の三洋は内輪もめ続き。だが、メーンバンクの三井住友銀行は、ふたりの続投を認めたという。社員は白けきり、三井住友のアレンジで昨年末の増資に応じたゴールドマン・サックスも、はや出資額を減らして逃げ腰との噂が広がっています。


(6)中国「労働力安売り」を転換
中国といえば、人件費コストの安さ。でも、対中進出を遂げた日系企業のその常識がもう通用しなくなりそうです。今、「労働契約法」という法案が審議され、「労働力」の値上げが図られています。社会・経済構造の変化で雇用市場の需給がタイトになった機会をとらえ、上海を起点とした外資や経済界寄りの「海派」と北京中心の「京派」と呼ばれる法案賛成派との間で大議論が交わされています。日系企業にとっては相応のコストアップが避けられませんが、長期雇用促進のメリットもあります。


(7)米ロ「新冷戦」に潜む暗闇
5月4日、ブッシュ政権の「最強の副大統領」、チェイニー氏が、リトアニアで「新冷戦」を連想させる激烈なプーチン批判演説を行いました。狙いは「独ロ」対「米国+東欧・バルト」の構図を鮮明にし、イラン問題、エネルギーをめぐる独ロ枢軸に反撃することでしたが、「リアリスト」のライス国務長長官の発表した3段階戦略で火を消された格好となりました。(「『影の米大統領』チェイニー危うし」(p56-57)でもネオコンの退潮を詳しく取り上げています。)


以下の3本はこのサイトで無料公開します。6月26~28日にかけて、順次アップしていきますので、ぜひお読みください。

6月26日掲載
★驕るトヨタ「セクハラ訴訟」の重症度合
221億円の賠償訴訟を起こしたのはどんな女性なのか。そのポートレートを掲載した米国のサイトにリンクをはります。

6月27日掲載
★進学塾「トーマス」が躓いた映像配信
IPマルチキャストを使って、人気講師の授業映像の配信を始めたはいいが、システムを開発したベンチャー企業を切り捨て、NTT東日本にすり寄ってトラブルに。

6月28日掲載
★インタビュー 竹島一彦(公正取引委員会委員長)――公取はまだ強くない、新聞は言行不一致
強制調査権限や課徴金減免制を武器に談合を果敢に摘発。新聞・テレビ・電通の三位一体のメディア寡占にも切りこみ、新聞の「特殊指定」も見直しを迫る竹島公取の本音を聞く。