2006年6月号の読みどころ
2006年05月20日発行
(1)電通激震、暴かれた「犯罪」<下>
創刊号で報じた電通インサイダー疑惑<上>、取材経過の詳細を綴った編集長ブログは電通内部に激震をもたらしましたが、その第2弾です。
電通は一貫して疑惑を否定していますが、5月9日、電通の上場子会社サイバー・コミュニケーションズ(cci)社長が事実上解任されるという変事が起きました。傘下にした孫会社の株式を個人で事前に入手、あとで売却して約4億円の利益を得たことが問題視されたのですが、これは明らかにインサイダー取引の土壌が電通内にあったことを証明しています。
cciの株価は急落しました。<上>で報じた電通の業務・資本提携先3社オプト、ネットプライス、シーエーモバイルの関連株価が発表前に不自然な動きを見せたこととどう関係があるかを追跡、他の新聞・雑誌が沈黙するなかで独走の調査報道となっています。そこに浮かび上がるのは、いずれの提携でも中心となった電通インタラクティブ・コミュニケーション(IC)局という共通点です。金融資本化した電通の食指がネット広告やモバイル広告業界にいかに広がっているかは、下の相関図でも一目瞭然でしょう。
電通の疑惑は個人の不祥事レベルを超えています。巨額のカネが動いたこと、そこに組織的なグループの影が見え隠れしています。広告という「知られざる暗黒大陸」が、徐々に全貌を現わそうとしています。
(2)「NTT利権」争奪の裏側
郵政民営化反対派が壊滅したことで、経世会の牙城であったNTT利権に空白状態が生じました。永田町ではその空白を埋める利権争奪戦が繰り広げられています。3月29日の経済財政諮問会議で小泉首相が断を下した「自民党主導の歳出入改革」はNTTの命運をも左右しかねません。和田紀夫社長は3期目の続投を決めましたが、国有財産払い下げ論者の中川秀直政調会長と、大臣懇談会を設けて通信と放送の改革を進めたい竹中平蔵総務相、旧自治省OBとして総務省のドンを自認する片山虎之助参院自民幹事長が、その裏で凄まじい暗闘。さらに背後からは「ユニバーサル回線会社」を迫るソフトバンクの孫正義社長と、NTTが直面する「内憂外患」の真相を探ります。
続いて、各分野の目玉記事です。
(3)「原油100ドル時代」の悪夢
原油高騰を「懸念事項」としたG7声明を尻目に、原油相場は一時、1バレル75ドルをつけました。ガソリンの小売価格を見ると、100ドルも絵空事ではないことが実感できます。「世界の同時好況」の底流にマネーフローの変調があることを踏まえ、スタグフレーションの再来の可能性を検証します。
(4)「イラン空爆」回避の秘策
ウラン濃縮を宣したイランと、空爆をもちらつかすアメリカ。ロシアの構想「核燃料リース方式」は、実は10年も前から国際核管理体制の構築に向けて米ロ間で実現のための布石が打たれてきたスキームで、これによって空爆回避へ瀬戸際の駆け引きが繰り広げられています(ブッシュ政権の対イラン政策については、p56-57『手嶋龍一式intelligence』、p58-59「『空爆』ちらつかすワシントン影絵芝居」でも詳しく取り上げています)。
(5)安倍と福田の一騎打ち
「ポスト小泉」の座は、安倍晋三と福田康夫の2人に絞られつつある。小泉首相は同じ森派(清和会)内部での一騎打ちを「構わない」としていますが、これが現実化すれば自民党最大派閥の分裂、そして各派に世代間抗争をもたらしかねません。補選での小沢戦術や、福田と小泉の根深い確執を示すエピソード、「血筋」と「分裂」の清和会史など血なまぐささが伝わってくるレポートです。
(6)中田宏・横浜市長の光と影
小泉チルドレン第1号とも言われる中田宏・横浜市長が3月に再選を果たしました。しかし、表の颯爽とした姿の裏にもうひとつの顔があります。さまざまなエピソードを通じて浮かぶ素顔とは……。
以下の3本はこのサイトで無料公開します。25~27日にかけて、順次アップしていきますので、ぜひお読みください。
5月25日掲載
★クレジット進出を目論むも、業界1位と提携できない
ドコモ『お財布ケータイ』は弱者連合
5月26日掲載
★客離れの出血が止まらない松井証券が直面する危機
松井証券の「迷走」人事 万策尽きて? 実弟起用
5月27日掲載
★10年間に9%も減少しているのは産科医だけ。
産科医がいなくなる!