政権中枢の「証言の数々」に刮目

『日本の防衛政策』 冷戦後の30年と現在 著者/杉本康士 評者/園田耕司

2025年8月号 連載 [BOOK Review]

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産経と朝日という対極的な主張の新聞社にいながらも、杉本康士氏は私の深く敬愛する畏友である。そのきっかけはちょうど10年前、ともに米ハーバード大学日米関係プログラムの客員研究員を務めたことにある。ブログラムが始まる直前の夏の間、杉本氏と私はボストン大学の古びた学生寮に入って語学研修を受けることになったが、たまたま2人一部屋のルームメートとなった。中東地域の士官学校から来た若者たちが寮内で繰り広げる夜な夜なのどんちゃん騒ぎに悩まされながらも、言葉通り、寝食を共にして勉学に励んだ。それ以来、ともに外交安保問題を専門としていることもあり意気投合し、親しく付き合うようになった。時に熱い議論を交わしながら、私はいつも杉本氏の持つ専門的な知見に驚かされていた。理想的な国家像への熱い思いを胸に抱きつつも、リアリスト的思考を兼ね備えた彼の問題意識は、私にと ………

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