2017年7月号 連載
本誌の想定する読者層は、政財界や官界の中堅・トップリーダー層だろう。内容も、様々な組織に深く食い込んだ、貴重な情報が少なくない。
そこに私は、逆説的だが、日本のリーダー層の一枚岩的な息苦しさを感じてしまう。ここには女性の登場人物も、女性が関心を持つようなテーマもほとんど出てこない。マイノリティーの人々、性的少数者や障害者、他民族の人々などの姿もない。
つまり、女性やマイノリティーは、相変わらず権力構造の埒外に置かれ、意思決定の現場に現れることもなく、たまに登場しても何かの「対象」としかみなされないということだ。
だから、いくら現状を批判していても、閉ざされた空間の中での闘争のように私には見えてしまう。本当にいまの社会を変えようとするなら、女性やマイノリティーがもっと声を上げ、意思決定過程に進出して影響を及ぼすこと、そこで既存の権力構造の一部と化すことなく、構造を内から食い破り、外から壊すしかないのだということを、本誌を読みながら改めてかみしめている。
ジャーナリスト 林美子