LINEは韓国人が実権を握り、巧妙なロビー活動と情報操作で政界工作をしている。
2021年6月号 DEEP
自民党の小委員会で「サーバーは国内にある」と言ったのはLINEの江口執行役員(左から2人目)といわれる
Photo:Jiji Press
全国で約8600万人の利用者が存在する情報通信アプリのLINE。今年3月1日にはヤフーを傘下に従えるZホールディングスと経営統合したことで、法人の体裁としては韓国のネイバー社の子会社から「日本企業」に変身した。しかし、いまだに組織運営の実態は韓国人に牛耳られたままだ。その上、巧妙なロビー活動と情報操作(インフルエンサー・オペレーション)によって徹底した「韓国隠し」をしている。
一時はLINEを使ったコロナのワクチン接種の予約システム導入が検討されたほど日本の生活インフラの一部を担う存在でありながら、韓国人に支配されている現状は安全保障上のリスクがあると言わざるを得ない。
LINEは16年に株式上場を果たした。この頃からメディアに対して「韓国企業とは書かないでくれ」との要求が強まったが、日本企業と経営統合した今でも主要役員12人のうち6人が韓国系。表向きのトップは出澤剛社長だが、実権はナンバー2のシン・ジュンホ代表取締役が握る。ストックオプションを含めたシン氏の役員報酬は一時、出澤氏の40倍の約50億円。CFO(最高財務責任者)やCTO(最高技術責任者)といった要職は韓国人が占めている。
今年3月17日には朝日新聞が報じたスクープを契機にLINEの杜撰な情報管理体制も明らかになった。「トーク機能」での不適切な投稿や迷惑行為を監視する業務を、大連に本社を置くLINEデジタルテクノロジー上海に委託し、中国人が日本にあるサーバーにアクセスし、利用者の氏名、電話番号、メールアドレスなどを閲覧できる状況に置いていた。
さらに、やり取りした画像や動画のデータは、ネイバーが所有する韓国内のサーバーで管理していたことが発覚。いずれも日本の個人情報保護法に抵触する可能性があった。中国では17年に制定された国家情報法によって国民に諜報活動を命じることができる。現在の日韓関係も「韓国海軍レーザー照射問題」などがあって以来決して良好ではない。良識のある日本人経営者であれば、こうした国家に国民の個人情報の管理を委託することはしない。実際、中国に委託したのは韓国人CTOだったという。
問題発覚後に記者会見した出澤社長は「時流を見誤った」と謝罪。こうした行為が悪意のないミスによるものなのか、意図的なのかということが問題になるが、「どうもLINEは意図的にサーバーの位置を隠していた疑いが濃厚だ」(自民党関係者)
証左として、問題が発覚する前の2月25日に開催された自民党デジタル社会推進本部・デジタル施策調査小委員会でのやり取りがある。関係者によると、その場で「情報管理は大丈夫か。サーバーは国内にあるのか」と問われたLINE役員は「国内にある」と答えたという。
この嘘をついたのはLINE執行役員で公共政策・CSRを担当する江口清貴氏だとされる。この江口氏と、LINEでマーケティング担当取締役を務め、Zホールディングス専務を兼任する舛田淳氏が情報操作戦略を担ってきた。舛田氏は中国の検索大手、バイドゥ日本法人で役員をしていた経験がある。
LINEはロビー活動や情報操作の活動拠点として4つの組織を持つ。その中心的な存在が「韓国隠し」が本格化した16年にシンクタンクとして東京・永田町に設立された一般財団法人・情報法制研究所(JILIS)だ。現金を中心に約8900万円の資産を保有している。
この手のシンクタンクの資産保有高は、国内では外務省系の日本国際問題研究所の約2億円が最高クラスと言われ、数百万円の資産しかないシンクタンクはざらにある。こうした点から見てもJILISには潤沢な資金があると言える。
JILISは一見、LINEと関係ある組織に見えない。理事のほとんどは情報法制などに詳しい学者と弁護士で構成されるが、事務局長に原田光輝氏、同次長に福島直央氏が就いている。両氏ともただ名前が書かれているだけなのでプロパーの職員かと思われたが、調べてみると、共にLINE社員だった。福島氏は現在、公共政策室長。意図的にLINEの社名を隠していると見ていいだろう。
このシンクタンクの現在の資金源は、デジタル教育の普及啓蒙活動などをしているLINEみらい財団のようだ。JILISでは研究資金などの名目で「LINEマネー」がばら撒かれている。このみらい財団とJILISの両組織で専務理事を務めてきたのが江口氏である。
氏はLINEが実質支配しているAI防災協議会、一般社団法人・ソーシャルメディア利用環境整備機構の理事も務めていたが、突如4月下旬に、みらい財団以外の役職を辞任した。理由について「3月に問題が発覚して以降、LINEに疑惑の目を向ける人が増えたので、自分が役員に入っている組織がロビー活動をしていると、LINEへの我田引水と見られ、見せかけとはいえ客観性が保てなくなるからではないか」(LINE関係者)と見る向きもある。
その江口氏は現在、昨年任命された神奈川県「チーフデジタルオフィサー」の名刺を使ってロビー活動をしているという。政界対応も巧妙で、「法務行政などに強い与党政治家らの政治資金パーティーに江口氏はよく出没し、その場で現金でパーティー券を買い、領収書を受け取らなかった」(同前)そうだ。
このためか、国会ではLINEに関する好意的な質問が出ている。日本維新の会所属の足立康史衆議院議員は19年11月13日、衆院経済産業委員会で「後援会や友人から、国会議員なのでLINEを使ってはダメと言われる。LINEは危ないですか」と質問し、当時の平将明内閣府副大臣から「公開情報によるとサーバーは国内に置いてあるので特段問題ない」との回答を引き出している。
さらに足立氏は問題発覚直後の今年3月19日の同内閣委員会で「(経営統合で)LINEは日本のものになった。日本企業になったから(LINEの問題は)分かったと勝手に思っています。朝日新聞は日本を潰したいから報じた」と語り、LINEが日本企業であることをことさら強調した。その様子はまるでLINEの「韓国隠し」に協力しているように映る。弊誌は足立氏にLINEとの関係を質す質問書を送ったが、設定した期限までに返答はなかった。