インサイド
2021年2月号 POLITICS [ディープ・インサイド]
立憲民主党に鞍替えした吉田忠智氏
とんだバースデー・プレゼントとなった。福島瑞穂社民党党首の誕生日であった昨年12月24日、同党常任幹事会で吉田忠智幹事長と吉川元・副党首の離党と辞任が承認され、両氏は同日、立憲民主党に入党した。
非議員で専従の中川直人副幹事長と横田昌三総務企画局長も年末に辞任し、中川氏は政治団体「社会民主主義フォーラム」の事務局長に転身し、横田氏は立民本部職員に鞍替えした。社民フォーラムとは、立民に合流する党員や党組織が情報交換などのために設立した団体だ。
1月5日、福島党首は同党本部での仕事始めで「緊急事態宣言を出すならば補償が必要だ」と威勢よく菅政権を批判した。新しく幹事長に就いた服部良一元衆院議員は党の再建と総選挙への決意を表明。ところが、周りを見渡せば参加者が妙に少ない。それもそのはず、同党本部の正規職員11人のうち、8人が昨年末で退職し、1月4日付で立民本部職員に採用されたからだ。社民党本部は機能麻痺状態に陥った。
一方、同党の機関紙『社会新報』と月刊誌『月刊社会民主』の編集スタッフ全員が社民党に残留となった。その理由は編集スタッフのほとんどが非正規雇用で、吉田前幹事長が社民党から立民に移籍する職員推薦枠から非正規を除外したためだ。「吉田氏は国会で同一賃金同一労働と言いながら、非正規を切り捨て、正規だけを引き連れて立民に遁走。明白な差別だ」とスタッフは憤る。
11月の臨時全国大会で「熟年離婚」分党議案が可決されて以降、機関紙はわずか2カ月間で発行部数の2割が減り、採算ラインを割る可能性が出てきた。社民党は党員1万3千人、党公認の都道府県議数は31人、市町村議は212人。このうち半数近くが3月までに立民及び社民フォーラムに移籍する予定。75年の歴史を持つ老舗政党はどん底から巻き返すことができるのか。新執行部は2月21日、都内で全国代表者会議を開き、党再建プランを発表する。