号外速報(12月29日 07:00)
2021年1月号 POLITICS [号外速報]
急逝した羽田雄一郎氏(HPより)
立憲民主党の羽田雄一郎参院幹事長が12月27日、都内の病院で急死した。1999年の参院補欠選挙で初当選。民主党政権で国土交通相を務め、現在は5期目の53歳。新型コロナ感染拡大の最中の急逝が、来るべき2021年の政局に波紋を起こしそうだ。
10月2日の党参議院議員総会であいさつする羽田雄一郎参議院幹事長(立憲民主党HPより)
「羽田急逝」の一報が飛び込んだのは27日の午後7時すぎだった。複数の関係者によると、羽田氏は4日前(23日)に長野市内で開かれた立憲民主党長野県連の常任幹事会に出席。その直後から風邪のような症状があり、27日に秘書と都内の病院へ向かったが、途中で胸の痛みを訴えるなど容体が急変。救急車で緊急搬送されたが、同日夕刻に帰らぬ人となった。
立憲民主党の福山哲郎幹事長は同夜、自身のツイッターに「あまりの突然のことで、悲しみで言葉もありません」と投稿。羽田氏と交流が深かった人ほど「信じられない」「一体、何があったのか。」と驚きを隠さず、死因を巡り様々な臆測が飛び交った。枝野幸男代表も翌28日午後に記者会見を開き「病院に運ばれた段階で亡くなられていたようだ。現時点で分かっていること、分かっていないことがある。正式なことがあれば幹事長から報告させてほしい」と述べるにとどめた。
関係者によると「羽田氏は新型コロナのPCR検査を受ける予定だったが、検査をする前に急死したため、死因は心不全とされた」と言う。「新型コロナに感染すると血栓症を引き起こし、狭心症や心筋梗塞で亡くなる例がある」(医療関係者)ため検死が行われ、28日夕刻、コロナに感染していたことが判明した。現職国会議員の「コロナ死」は初めてであり、野党議員の一人は「国会議員や政府要人の感染予防やリスク管理の緩みが、改めて問題になるだろう」と言う。
一方、羽田氏の死去に伴う参院長野選挙区補選は21年4月25日投開票の見通しだが、同じ日に自民党の吉川貴盛元農林水産相の議員辞職を受けた衆院北海道2区補選も予定される。この「衆参ダブル補選」は、菅首相就任後初めての国政選挙であり、初めて国民に信を問う決戦となる。
年末にかけて報道各社の世論調査で内閣支持率が軒並み急落する中、自民党は「厳しい戦い」(下村博文政調会長)を避けられない。野党は両補選とも候補者を一本化し、長野は「弔い合戦」、北海道は「政治とカネ」(北海道)と位置づけ、次期衆院選の前哨戦として必勝の構えだ。
羽田氏は旧民進党、旧国民民主党を経て、20年9月に旧立憲民主党と旧国民民主が合流した新党「立憲民主党」に参加。党内の「調整役」として参院幹事長に抜擢された。羽田氏をよく知る参院関係者は「敵を作らない穏やかな性格で、立憲民主系の左派と国民民主系の保守派の融和を図っていた。党内の『潤滑油』、大切な人を失った」と悔しがる。今なお両派の対立で軋む参院立憲民主の前途を危ぶむ向きもある。
17年12月10日。長野県上田市のホテルで開かれた羽田孜元首相の「お別れの会」で、父の秘書を経て国会議員となった雄一郎氏は「父は信州のため、日本のために身を削って働いた。父の思いを受け継いで、世界の平和を日本から発信したい」と決意を述べた。あれから4年も経たない、余りにも早すぎる旅立ちとなった。