コラム:「某月風紋」

2021年1月号 連載

  • はてなブックマークに追加

最果タヒは1986年生まれである。第4詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(リトルモア)は、2018年6刷。いま最も読まれている詩人だ。「都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。塗った爪の色を、きみの体の内側に探したって見つかりやしない。」石井裕也監督が、同名の映画のメガホンを握って、17年公開した。非正規労働者の慎二(池松壮亮)と看護師をしながら、ガールズバーで働く美香(石橋静河)の物語。外国人技能実習生や、突然死する非正規の同僚の人生が重なる。萩原慎一郎は84年生まれ。第1歌集の『滑走路』(角川書店)を入稿した直後に自死した。中高一貫の名門校でいじめに遭って、心を病んだ。早稲田大学の通信教育課程を卒業してから、非正規労働者となった。「ぼくも非正規きみも非正規秋がきて牛丼屋にて牛丼食べる」「箱詰めの社会の底で潰された蜜柑のごとき若者がいる ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。