26年間の実績・技術力の集大成

パーソナルワンの専用ケース

「パーソナルサプリは、サプリメント事業を立ち上げた26年前から夢に描いてきた最終形。予防医学を広げるため展開することにした」――。ファンケル創業者、池森賢二・名誉相談役の悲願がようやく形になった。メインターゲットは健康意識の高い50～60代の男女。アンケートと尿検査によってお客さまの健康状態を分析し、一人ひとりに最適なサプリメントをワンパックにして定期的にお届けする。「これまでの実績や技術力の集大成」（ファンケル広報部）との言葉に、サプリメントのリーディングカンパニーとして未病のうちに栄養状態を改善し、健康寿命を延ばしていきたいという強い思いが滲む。

朝・夜の1回分ずつ個包装されたサプリ

「パーソナルワン」を利用するには、ファンケルのホームページから「食習慣・生活習慣に関するWEBアンケート」（全45問）に回答して尿検査キットを申し込む。採尿し、尿検体を投函すると約1週間後に分析結果のメールが届く。専用ページ「パーソナルワン　マイラウンジ」では、栄養素の充足度がレーダーチャートと点数（100点満点）で示され、医師監修のもと開発された分析ロジックに基づき、最適なサプリメントが提案される。その内容は、あなたに必要なビタミン、ミネラルなどの基本栄養素で設計された「ベースサプリ」と、代謝の低下、腸内環境、睡眠など複数のお悩みにアプローチする「健康悩み対策サプリ」の組み合わせからなる。

レーダーチャートの表示例

提案されたリストから必要なものだけを選んで購入すれば、1週間後には、自社工場で受注生産されたあなただけの1カ月分のオーダーメイドサプリが届けられる。朝・夜の1日2回分ずつ個包装されたロールを専用ケースにセットし、一袋ずつ取り出せる。栄養状態や健康悩みは一人ひとり異なるため、提供する種類・粒数も異なり、その組み合わせは10億通りを超えるという。合成着色料、保存料は無添加。栄養をしっかり届ける独自の「体内効率設計」にもこだわっている。

世界に先駆けた新技術を実用化

雄長誠さん

開発期間は、4年半という長い道のりで「苦労の連続でした」と、総合研究所ヘルスサイエンス研究センターの主任研究員（農学博士）・雄長（おちょう）誠さんはいう。栄養状態は通常、血液検査で測定するが、ファンケルでは「お客さまの身体に傷をつけたくない」思いから尿検査を採用。これによる「鉄」と「亜鉛」の分析技術の実用化は世界に先駆けた新技術である。「分析技術の確立から測定装置の開発、体内の充足度を測るための計算式の確立など多くの困難がありました」（雄長さん）

商品設計を担当したマーケティング本部の三原千延（ちのぶ）さんは「すべての仕組みをゼロから構築することは本当に大変でした」と語る。「分包機の選定に始まり、受注生産のオペレーション、尿検査・分析ロジックの開発、通販・WEBシステム構築など、社内外の多くの方々と連携し、ファンケルだから提供できる唯一無二のサービスとなるように、どの工程も妥協せずにこだわり抜きました」（三原さん）

三原千延さん

個包装のフィルムには酸素バリア性が高く、サプリメントの品質保持に優れたものを採用。中身や賞味期限がひと目で分かるデザイン、場所を取らず機能的な専用ケースも、ファンケルらしい思いやりが感じられる。

サポート体制も充実している。電話窓口「パーソナルワン相談室」を設け、専任のカウンセラーが多角的にサポート。お客さまごとの情報を把握したうえでサプリメントに関するアドバイスをするほか薬との飲み合わせもお調べする。さらに食事管理アプリで人気の「あすけん」と連携し、ネット上で栄養士から食生活改善のアドバイスが貰えるほか、蓄積した食事記録を基に次回の「ベースサプリ」が提案される。

「パーソナルワン」は、基本栄養検査キット（尿検査）が5500円（税込）、サプリメントは約4千～4万円（種類・粒数により変動する）。「栄養状態を客観的に把握できるようになることのメリットを考えたらお値頃です」と、雄長さんはサービスの先進性をアピールする。26年前、健康食品に価格破壊を起こしたファンケルが、人生100年時代のサプリ生活を変える日がすぐそこまで来ている。

（取材・構成／編集委員　和田 紀央）