2013年3月号 連載
1月28日、衆院に原子力問題調査特別委員会が設置された。国会事故調から7カ月超、第一歩として提言実施計画の策定と公表が待たれる。
事故調では調査統括補佐としてさまざまな「事実」を目の当たりにした。問題は山積している。3・11が見せた国の実態、失った国の信用をどう直視し再建するのか。国権の最高機関は緒に就いたばかりだ。
耳触りの良い掛け声とは裏腹に、将来世代がこの国に住み続ける合理性が加速度的に失われつつある。危機感は募るばかりだ。行くべき道は反省すべき事実をなかったことにすることではあるまい。出発点とすることこそが国民と世界の国家に対する信頼を再建する道だ。報告書は言う。「福島原子力発電所事故は終わっていない。不断の改革の努力を尽くすことこそが国民から未来を託された国会議員、国民一人一人の使命であると当委員会は確信する」
それは将来世代が愛する国を選択する際に、この国が俎上に残るための必要条件だ。道程を正しく伝え残す責任は重い。貴誌の邁進を期待する。
クロト・パートナーズ代表 石橋哲