移行を喚起できるか? 隠し球はXP互換環境

次世代OS「Windows7」

2009年9月号 連載 [PRODUCT Review]

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10月22日にマイクロソフトの新OS「Windows7」が発売される。ウインドーの透明化に代表されるグラフィックス処理をふんだんに使った操作画面の華やかさは、Macのそれに近づいた。また、パソコンに対する大きな不満のひとつである起動時間は「Windows Vista」より高速で、処理の「軽さ」に定評がある「Windows XP」と同等の水準となっている。

数ある新機能の中でも、注目を集めているのが「XPモード」だ。これは2世代前のOSにあたるXPの環境を新OS上に仮想的に構築し、本来は新OSではうまく動作しないソフトウエアもセブン上で動くようにするもの。OSの移行に慎重な法人ユーザーを中心に要望が高い機能ではあるが、仮想OSの実行は負荷が高い処理になるため、中央演算処理装置(CPU)などのハードウエアが仮想化に対応したものでないと利用できないという問題がある。

前版ビスタの苦戦は、OSに求められる機能としてはXPで一定の水準に達したという評価の裏返しでもあった。日経パソコン誌が2千社を対象に行った調査では、企業の9割超がいまだにXPを使用している。セブンを取り巻く環境も順風満帆とは言い難いが、ビスタと比較すると、セブンへの反応はおおむね好意的。新しいパソコンを買った際にXPへのダウングレードを希望するケースは少なくなりそうだ。

   

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