大川総裁が著書で予言した「幸福の科学」の茨の道

2009年9月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]

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新宿文化センターでの講演会

宗教法人・幸福の科学で変事が続いている。幸福実現党の都議選惨敗を受けて、大川隆法総裁自ら党総裁に名乗りを上げた。教祖が政党の最高責任者を兼ねるリスクは計り知れないが、大川氏は「これは神仏の戦い。日本軍のように『戦艦大和』の後出しはしない。正々堂々と戦う。勝負はこれからだ」と演説し、教団の総力を挙げて総選挙を戦い抜く決意を示した。

7月末、大川氏は『金正日守護霊の霊言』なる著書を刊行。「金正日の潜在意識にアクセスした」として、「ミサイルのボタンを押すときに『良心の呵責』などない」「ミサイルを皇居に撃ち込めば日本人は衝撃を受ける」「命令は録音してあるので私が死んでも核は発射できる」などと語らせている。荒唐無稽といえばそれまでだが、元信者は「霊言集は信者にとってはバイブル。大川氏も信者も北朝鮮の核攻撃が必ずあると信じている」と言う。

8月9日、幸福実現党は新聞各紙に大川氏の写真入り広告を掲載。「今のままでは、愛する人も守れない」「北朝鮮は200発以上のミサイルの照準を日本に合わせ、核の準備まで進めている。憲法9条を見直し、真の平和を手にしたい」とのメッセージを送った。

「大川氏は99年の『ハルマゲドン』を恐れたように『終末思想』の持ち主。北朝鮮の核攻撃を信じ込み、日本を救済する宗教的使命感から政治に乗り出した」と元信者は言う。

さらに大川氏は『明治天皇・昭和天皇の霊言』なる著書も出版。「両天皇を招霊し、この国の現在、及び将来のあり方を問うてみた」との触れ込みで、「幸福の科学の教えを取り入れて、国体をつくれ」「天照大神は幸福の科学を全面的に支援している」「明治帝には、ここ数年、さまざまなアドバイスをいただいている」などと書いている。これには公安当局も仰天し、「大川氏が右翼や他教団から攻撃を受ける可能性がある。街宣活動などは注意したほうがよい」と忠告した模様。このためか、大川氏の出席が予定されていた、東京12区に出馬する饗庭直道元党首の選挙講演会が急遽、中止になった。「東京12区は公明党の太田昭宏代表の地盤で、創価学会信者との衝突が懸念されていた」(教団ウオッチャー)

先の天皇の霊言集で、大川氏は幸福の科学の前途を「茨の道」と予言、「政治団体や宗教団体、右翼、左翼、さまざまなものからの攻撃が予想される」「国を救いたい気持ちは、必ずしも報いられない」「包囲殲滅するつもりで、逆に包囲されてしまうのでは」と悲観論を書いている。

8月13日、幸福実現党が総選挙から完全撤退を検討していることが判明。「民主党政権を阻止するため、あえて身を引き自民党系議員の支援に回るのも選択肢」(饗庭元党首)と説明するが、実際は大川氏ら多数の公認候補の「玉砕」を恐れているのではないか。茨の道は始まっている。

   

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