ミスタードーナツ全店で「トランス脂肪酸」排除の波紋

2008年2月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]

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ダスキンが12月末から、「ミスタードーナツ」全店で低トランス脂肪酸(TFA)油を導入した。ドーナツの揚げ油を新たに開発した代替油に切り替え、国内だけでなく、韓国、台湾にも広げている。日本のメディアはこの意味がよく分からないようで、各社ともほとんど取り上げていないが、今後他のファストフード店にもこの動きが急速に広がる可能性がある。

TFAはマーガリンや、ケーキ.菓子などに使うショートニングなどの加工油脂、業務用揚げ油、牛脂などに多く含まれている。多量に摂ると悪玉コレステロールが増え、動脈硬化や心筋梗塞などのリスクが高まるとされる。米国ではニューヨーク市が昨年7月から全レストランでTFA使用の規制を始めるなど、全米に広がりつつある。

翻って日本。厚生労働省の特定保健用食品認可を受け、ヘルシークッキングオイルとして売っている花王「エコナ」がTFAを多く含んでいるにもかかわらず、「健康」を前面に掲げている状況。内閣府食品安全委員会によると、日本人1人当たりのTFA摂取量は1.56グラムと米国人成人の5.8グラムに比べはるかに少なく、そのためかあまり問題視されていない。ただ、日本人の食生活も若者を中心に、ファストフードへの偏食が進んでおり、米国並みに危機感が高まるのは時間の問題だろう。

   

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