2007年12月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]
エステティック業界唯一の上場企業、ラ・パルレ(大証ヘラクレス、東京・港区)の業績が失速、08年3月期業績見通しを大幅に下方修正した。営業損益は当初見込みの22億円の黒字から一転、6億5千万円の赤字に転落する。赤字の原因は、契約金額の上限設定など自主規制を強化したことにある。平均契約単価の低減を、新規契約数の増加でカバーできなかったのだ。02年5月に上場して以来、M&Aや積極的なテレビCM、また近年は、メタボリックシンドローム対策をキーワードに中高年男性向けのエステサロンも出店、マスコミの話題にもなり、前期連結は年商171億円(前年比65%増)と急成長中とみられていただけに、新興市場に失望感が広がっている。
マーケット規模が約4千億円といわれるエステ市場だが、新規開業が比較的容易なため異業種からの参入も多い。業界トップのTBC、ソシエ、不二ビューティ、ラ・パルレなどを除けば、中小零細業者が大半である。しかし、誇大広告や格安の体験コースで客を引き寄せ、高額コースへの勧誘や化粧品、エステ器具の強引な物販など、消費者からの苦情は年間1万件を超える。そのため、経産省も今年6月に「エステサロンの認証制度の在り方」と題する報告書をまとめ、監視の目を光らせている。ラ・パルレの場合、業界唯一の上場企業として比較的信用度は高かったが、M&Aや広告宣伝費、積極的な出店が裏目に出てしまった。契約金額の自主規制の結果とはいいながら、前途多難な再出発となりそうだ。