2025年6月号 LIFE [シン鳥獣戯画]
吾輩は大瑠璃(おおるり)小灰蝶(しじみ)である。日本では九州と本州に亜種がいるが、環境省の絶滅危惧種(それぞれIB類とIA類)に指定されている。翅(はね)を広げた横幅は3-4センチほどで、シジミチョウの中では大きいほうだが紋白蝶(もんしろちょう)よりやや小さめだ。表は瑠璃色で縁がオレンジ色に染まり、我ながら美しく、人間の子供たちにも人気がある。九州の仲間は熊本県阿蘇の草原にいるが、吾輩は長野県安曇野市に棲んでいる。昔は東北や関東地方にも仲間がいたようだが、今は本州では安曇野市周辺など、限られた地域にしかいない。我々が数を減らした原因は、農地や草原の減少にあるという。耕作放棄地は樹木が育ち、吾輩には棲みにくい環境に変わる。また、乱獲や農薬散布も減少要因に拍車をかけたと言われる。人気があるのも善し悪しだ。我々に限らず、蝶類は世界各地で減っている。 ………
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