コラム:某月風紋

2025年2月号 連載 [コラム:「某月風紋」]

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60歳になり国民年金の保険料納付義務が終了した。とはいえ、学生時代に空白期間が存在する。そこで「任意加入」という制度を用いて引き続き保険料を支払うことにした。将来受け取れる老齢年金が少し増える。「前納」すれば保険料が安くなるから、クレジットカード引き落としの手続きを取った。

そこまでは良かった。カード納付の通知が来ないと思っていたら、突然ピンクの封書が送られてきた。「あなたには国民年金保険料の未納期間があります。未納が解消されない場合、法に定める滞納処分を行うことがあります」。財産調査を経て差押執行までの流れが書かれている。

あわてて近くの年金事務所に駆け込んだが、応対した職員はアルバイトなのか要領を得ない。質問するたびに中へ引っ込み上司と相談している。しまいに上司が出てきてわかったのは、カード引き落としの開始まで時間がかかること。請求書はカードの手続きとは別に本部が機械的に送っていることだった。納付期限を過ぎるとピンクになり、「ビックリされないよう事前に説明しておくべきでした」。釈然としないまま、3カ月分をコンビニで支払った。

長生きしないと元は取れないが、物価上昇が止まらないのだから仕方ない。消費者物価指数は昨年11月に前年同月比2.9%上昇するなど2年8カ月連続で2%超え。なかでも食料品と日用品(家具・家事用品)は、2020年と比べ2割以上上がっている。

物価以上に賃金が上昇していれば問題ないが、実質賃金は22、23年とマイナスで、24年も6、7月を除き減少している。年金生活者はさらに悲惨だ。「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みにより、支給額は物価や賃金の伸びより低く抑え込まれる。

こうした状況でも日銀は利上げをためらっている。政府は「デフレ脱却宣言」すらしない。このまま円安・物価上昇が続けば、夏の参院選で自民・公明の与党は敗北し、衆議院同様過半数割れするだろう。

(ガルテナー)

   

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