2024年10月号 連載 [コラム:「某月風紋」]
8月上旬の株価大暴落でうろたえていたころ、長者番付1位になったこともある伝説の投資家、清原達郎さんはメガバンク株を105億円も買ったという。その後株価は持ち直し、「あの時もっと買っておけばよかった」と思ったものの後の祭り。
9月に入って再び株価が下落している。最初のうちはあれこれ買い注文を入れていたが、だんだん二番底が心配になってくる。株式投資には「胆力」が必要だということがよくわかる。
清原さんの著書『わが投資術 市場は誰に微笑むか』には「私がとても重宝しているのが『FACTA』」とあった。「死ぬまで解約しないでしょう」とも。おかげで本誌の部数も少し増えた。
「私はSNSを一切やりません」とインタビューで話しているのを知っていたのに、「清原達郎オフィシャルサイト」なるものを見つけ、うかつにも問い合わせをしてしまった。同じサイトのLINEを「ポチッ」と押したところ、「私が推薦する優良株は○○です。購入をご検討ください」というメッセージが。その銘柄は急騰したのち、暴落した。さらに「私の投資グループに参加していただければ…短期のリターンはすでに300%以上に達しています」など怪しげなコメントが届くようになった。
清原さんも「SNSの詐欺に気をつけてください」と訴えていたが、AIの普及で本物と偽物の区別はつきにくくなっている。銀行やクレジットカード会社を騙る詐欺メールも増え、昔と比べると日本語が自然でもっともらしくなっている。メールアドレスのドメインが中国を指す「cn」で終わっていれば見分けがつくが、そのうち「改良」されるだろう。
清原さんは著書でFACTAと並び「四季報オンライン」を薦めていた。早速契約したところ、「EV/EBITDA」など計算式を入力していろいろな指標のランキングを作れ、使い勝手はよい。
(ガルテナー)