連載コラム:「某月風紋」

2024年5月号 連載 [コラム:「某月風紋」]

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SNSなどを使って、架空の投資話などによって金品をだましとるネット犯罪。筆者が餌食になりかけた失敗談から始めよう。Facebookの広告から著名な経済アナリストの無料投資講座のLINEのグループに誘導された。株取引を解説するPDFの資料を添付し、「推奨銘柄」を指定して購入を勧める。小型株であり、単位株の価格もたいした金額ではなかった。

このLINE講座への誘導方法が巧みだ。件のアナリストが他の著名経済人らと人気投票の対象になっており、投票を求められる。その結果、1位となったという日にAmazonのギフト券2000円分のナンバーが送られてきた。

さすがに怪しいと考えて、購入した推奨株を売却。日経平均が4万円を目指して上昇を続けていたときで売却益がでた。ギフト券も使えた。

投資講座に名前を使われたアナリストがラジオの番組で語っていたところによると、SNSはいっさいやっていない。オフィスには合計約8億円近くの被害の相談があったという。会員に対して、直接口座に資金を送るように指示するようになり、しばらくは利益と称して返金があるが、そのうちに絶える。

警視庁によると、インターネット上で投資話を持ちかける「SNS型投資」と恋愛感情を抱かせて金をだまし取る「ロマンス詐欺」の被害額は2023年に計約455億円。「オレオレ詐欺」など電話を使った特殊詐欺の約411億円を初めて上回った。

警察官僚出身の初代内閣広報官の宮脇磊介さんは、バブル崩壊の原因となった土地、金融取引などについて「ヤクザ・エコノミー」と、警鐘を鳴らした。江戸時代から博徒は「十手」と「金貸し」の二刀流で、闇の金融に関してはベンチャーだと。暴力団対策法によって暴力団員の数こそ減っているが、地下に潜った半グレたちが悪知恵を絞っている。

(河舟遊)

   

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