2023年4月号 連載
日本における災害記録の歴史を紐解くと、災害の実相を書き残し、後世へ伝えていくことの大切さは古来より認識されていたことがわかります。最古の災害記録は日本書紀に記された西暦416年の地震で、その後も災害記録の系譜は史書や日記、瓦版、新聞、情報誌を舞台に連綿と続いてきました。
発災後まもない頃から東日本大震災とそれに伴う原発事故について他の追従を許さない報道を続けてきたFACTAはこの系譜の燦然と輝く継承者であり、3月号ではいち早く災害関連死について取り上げました。
原発事故後、福島県で多くの方々が避難を余儀なくされました。避難の過程や避難後の生活環境の変化により亡くなる方も出ました。このような間接的な健康影響による死について調査することは、将来の災害死を減らす上で大変重要です。
未来の糧となる知見を残すという意味で研究にも災害記録の伝承者としての側面があると思います。報道の精華たるFACTAに教えられることは多いです。
福島県立医科大学医学部 内悠奈