2022年12月号 連載
えっ、あの人がこんなことをしてたの?! びっくり、がっくり――。人間の本性の浅ましさを教えてくれたのがFACTAだった。
先日、後期高齢者に仲間入りして、「後期」の表現に文句をつけたくなったが、その前に「長く暮らしていると、いいこともある」と考え直すことにした。創刊200号を振り返ると、この雑誌のすごさがわかる。
大手マスコミが苦手とする調査報道の気概は言うまでもない。日大の理事長事件に限らずトヨタやソフトバンクの本質に切り込む度胸もある。
最近、私は「孫に伝えたい…」という趣旨のエッセー集を出版した。世界で“本当に”立派な人とはどんな人なのか。自戒を込めて書いた。
偉人とは知識人で、尊敬の対象?でも、それを英雄気取りでひけらかす人は問題外だ。パワーがある人が偉い?でも、それは身勝手と同義語だと思う。「偉人と凡人」、「善人と悪人」を判別するヒントを示した。
そうか、孫に伝えるべきは「本性」に迫ることをやめないFACTAの精神だった。
元日経新聞常務取締役 和田昌親