2022年4月号 連載
16年前に月刊FACTAが創刊された当時、その「調査報道」に大いに期待していた。もちろん、大手マスコミもリクルート事件など戦後の政治を変える調査報道をしてはいたが、大多数の視聴者・読者に資する情報となれば、発表報道やストレートニュースにも比重を置かざるを得ず、コストがかかる調査報道には限度がある。一方で、週刊誌は当時から有名人のスキャンダル等で部数の減少を食い止めている状況だった。
本当に必要な情報が届いていないのではないか、そんな思いに応えてほしいと創刊号から愛読してきたが、その「隙間市場」的な期待に月刊FACTAは応え続けてきてくれた。印象深かったのはオリンパスの粉飾決算で、調査報道を続けたことによって、大手マスコミも取り上げるようになり、不正が白日のもとに。最近では日大の田中理事長の疑惑報道など、調査報道の切れ味は健在だ。
16年前との大きな違いはネットの発達だが、フェイクニュースを吹き飛ばす切れ味で情報の「隙間市場」の健在ぶりを示し続けてほしい。
麗沢大学教授 川上和久