日立労組中央執行委員長 半沢 美幸氏に聞く!(聞き手/編集長 宮嶋巌)

「意思決定の場」でもっと女性は活躍できる

2021年5月号 BUSINESS [リーダーに聞く!]

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1967年北海道生まれ。北大文学部卒。90年日立製作所入社。98年より労組専従。中央執行委員を経て、電機連合中執、日立で初の女性労組本部書記長などを歴任。20年7月より現職。

――日本を代表するメーカーの労働組合で初の女性委員長として春闘の先頭に立ちました。

半沢 日立労組(約2万6千人)の代表として賃上げ(ベア)要求やコロナ下の新しい働き方について15回に及ぶ労使交渉に臨みました。私は日立グループ連合(50労組、約10万人)の会長も兼ねており、日立労組の妥結額はグループ全体に影響します。会社側専務と1対1のトップ交渉の際は、委員長として一段と重い責任を感じました。

――なぜ、労組の専従に?

半沢 組合には関心がなく、入社から8年間はソフトウェア事業部でコンピュータ・マニュアルの制作をしていました。日立労組は14支部・12分会からなっており、31歳の時に女性で初めてソフト支部の執行委員に選ばれ、2年後に支部の書記長、その4年後に本部の中央執行委員に選ばれた。日立労組で初の女性登用でした。支部の先輩の仲谷薫さん(後に中央執行委員長)がメンターになってくださいました。当時からソフトウェア事業部は女性が多く、ソフト支部はもっと女性の声を汲み上げるべきだと、多くの先輩や仲間が応援してくれました。

会社側専務と1対1の労使交渉に臨む半沢委員長

――現在、日立労組には何人の女性役員がいますか。

半沢 本部の9人中2人、支部は136人中15人が女性です。女性参画推進計画を策定し、女性役員登用のステップを示すなどの地道な取り組みにより、だんだん増えてきましたが、女性組合員比率24%に比べ女性役員比率は12%と、まだまだ少ない。

――連合の調査によると、連合全体(約700万人)の女性組合員比率36%に比べ女性役員比率は構成産別で15%に過ぎません。なぜ、女性は労組の執行委員になりたがらないのですか。

半沢 労組のイメージが古臭く、活動内容がよくわからない。定時外の活動とならざるを得ない部分はどうしてもあり、家庭責任との調整が難しい。労働組合は社会と繋がり、職場の中で重要な役割を担っていることが知られていない。女性の執行役員が増えれば、より多様な意見が出てくるし、(男社会の)労組が職場に近い当たり前の環境になり、これまでの組合活動を見直すきっかけにもなります。

――連合によると、構成産別の三役(委員長、副委員長、書記長)のうち女性三役の割合は3%、女性委員長はゼロです。

半沢 労組の意思決定は三役を軸とした合議により行われます。女性執行委員が増えても、男性に三役を独占されたら、女性は組合の意思決定の場にいないことになります。女性の執行委員を増やすのはもちろんですが、さらに一歩踏み込み、組合中枢の三役に女性を必ず入れる取り組みが必要だと思います。

「浅野哲衆院議員の再選を勝ち取ることが私の使命 」(半沢氏)

――日立グループ連合が支援する浅野哲衆院議員(茨城5区)をはじめとする「日立グループ議員団」28人は全員男性です。

半沢 あらゆる意思決定の場でもっと女性は活躍できるのに、半世紀を超える日立の労働運動の中に「女性を出す」「女性が出る」という発想がなかったのです。まだまだ男性が多い社会なので、男女がともに活動に参画する意識や実態が当たり前になるまでは、数値目標を立てて政策的に数を増やすポジティブアクションも重要だと思います。

(聞き手/本誌発行人 宮嶋巌)

   

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