神津里季生連合(日本労働組合総連合会)会長に聞く!

「まずは公助!」大きな塊のパワーを見せよ(聞き手/本誌発行人 宮嶋巌)

2020年11月号 POLITICS [キーマンに聞く!]

  • はてなブックマークに追加

1956年生まれ。79年東大教養学部卒、新日本製鐵入社。84年から組合専従となり、新日鐵労連書記長、会長、日本基幹産業労連委員長、連合事務局長を経て、15年10月より現職。

――衆参150議員からなる新「立憲民主党」が誕生しました。

神津 衆院107人は09年の政権交代前の民主党115人に迫る。野党「多弱」を抜け出し、政権選択選挙である衆院選に挑む「大きな塊」になりました。

――この間、連合は「合流新党」の背中を押して来ました。

神津 自公政権との対立軸を明確に示し、国民の選択肢になり得る野党第一党を作らなければ展望は開けない。野党合流は必然なのです。今、未曾有のコロナ禍に遭遇し、私たちの命やくらし、仕事や職場は深刻な危機に晒され、我が国の経済社会は様々な脆弱さを露呈しました。連合は、新立憲民主党の結党に当たり、同党と「共有する理念」を締結し、早期解散・総選挙を念頭に、連合組織一丸となって闘う「支援強化」を決めました。

――どんな「理念」を共有?

神津 「一人ひとりの命とくらしを守り抜くこと」を、我が国の社会・経済・政治の基軸に据えて、コロナ禍を乗り越えるとともに、ポストコロナにおける「新しい標準(ニューノーマル)」を創ることをめざします。

言葉を換えれば「自己責任から支え合いへ」。この20年間、自公政権が進めてきた過度な自己責任論、新自由主義(競争万能主義や株主至上主義)から脱却し、命とくらしを守る生活保障(セーフティネット)で全ての人々を包み込み、働き方・くらし方を柔軟に選択できる安心で持続可能な社会を創りたい。

――安倍政権を継承した菅首相は「私がめざす社会像は自助・共助・公助、まずは自分でやってみる」と言っています。

神津 順番が違っています。全地球的なコロナ禍が続く限り、「まずは公助!」であるべきです。仮に財政問題から雇用助成金の特例措置を打ち切ったら、途端に失業者が溢れ出すでしょう。コロナ禍による経済活動収縮で、企業が内部に抱える休業者は数百万に膨らみ、流通や外食などの労組が加盟するUAゼンセン(組合員180万人)は、産業雇用安定センターと連携協定を結び、人手不足産業への「出向」を含む人材マッチングを開始しました。こうした「失業なき労働移動」への取り組みが、経済再建のカギを握っています。

――菅内閣の支持率が60%を超える一方、新立憲民主党の支持率はヒトケタのままです。

神津 8月11日の玉木さん(雄一郎・国民民主党代表)の分党表明(合流離脱)が痛かった。共有する理念の作成にも参加し、熱心に意見を仰っていただけに肩透かしにあったという思いです。結果、国民民主党所属議員の約三分の一が合流せず、連合の産業別組織(産別)の支援を受ける組織内議員9人も不参加となり、一つにまとまれなかった。野党第一党と第二党が「解散・合流」という壮挙により誕生した新立憲民主党は、過去を乗り越え、生まれ変わったというのに、首相交代の陰に埋没したように見えます。たいへん残念です。10月下旬の臨時国会召集により、年内解散は遠のいたようですが、今後も合流新党の支持率の低さが解散を呼び寄せる懸念もあり、容易ならざる状況です。小選挙区での候補者擁立・調整を急ぎ、「大きな塊」のパワーを、有権者に見せて欲しいものです。

(聞き手/本誌発行人 宮嶋巌)

   

  • はてなブックマークに追加