「風蕭蕭」

洪水予報の大切さ

2020年9月号 連載 [編集後記]

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本間基寛・日本気象協会専任主任技師

「大雨特別警報について出るのか出ないのか、すごくそこに焦点がいって(中略)本来もっと着目するべき指標、先ほどの(山形県の最上川に出た)指定河川洪水予報は警戒レベル4相当で本来、相当危ない話のはずなので、やはり特別警報ばかりにフォーカスが集まるのは少し違うのかなと個人的には思ったりしています」

(本間基寛・日本気象協会専任主任技師、8月3日、日本記者クラブの会見で)

気象情報に対するマスコミの着目点について、日頃どう考えているのか意見を求められ、このように答えた。

近年、気象は年を追うごとに凶暴さを増している。台風は勢力を上げ、低気圧や前線がもたらす豪雨災害は年中行事のように発生。「50年に一度の災害が起こる」とされるレベルの大雨が、もはやいつどこに降ってもおかしくない状況になっている。一級河川が平気で氾濫し、整備が進んでいるはずの都会の一等地が普通に水に浸かっている。

7月の九州豪雨は、熊本県の球磨川流域で線状降水帯が11時間以上居座り、12時間雨量で既往最大値の120%を超える猛烈な雨を降らせた。まさに球磨川にとって「最悪の降り方」(日本気象協会)となり多くの犠牲者を生んだ。

一方、気象の観測・予報の技術の進歩も目覚ましく、雨雲はレーダーで詳細に捉えられ分析されるようになった。各河川にきめ細かい観測網が施され、警戒情報の精度は格段に上がった。

問題はそれがうまく人々に伝えられるか。うまくとは「正確」であるだけでは足りず、人命が失われなかったという「結果」がすべてという厳しさを持つ。突然山を削る鉄砲水の発生を前もって知らせるのは難しいが、洪水は降雨から被害発生まで時間がある。そこを大切にしなければ。

   

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