2019年12月号 連載
10月号の二重国籍問題を指摘する記事を興味深く拝読しました。
私のブラジル駐在時に生まれた長男は、出生地主義のブラジルでブラジル人として登録し、領事館で日本国籍留保届を出し、二つの国籍を取得して3歳の時に日本に帰国しました。国籍法に基づき22歳前に日本国籍を選択し、ブラジル国籍を放棄しました。その後、私の2度目のブラジル駐在時、来伯する息子がブラジル領事館でブラジル入国ビザを申請し、出生地欄に「ブラジル国ヴィトリア市」と書いたところ、「あなたはブラジル人だから、ブラジル人としてビザなしで入国できる」と言われました。息子は既にブラジル国籍放棄手続きを済ませたと伝えましたが、ブラジル領事は、「そんなことはブラジル政府は関知しない。君はブラジル人だ」と言い、僅か3日でパスポートを発行してくれました。息子は今も日伯両国のパスポートを持っています。
ブラジル政府の柔軟な対応に比べ、日本の国籍管理は硬直的です。世界の7割の国が認める二重国籍を認めない日本の国籍管理は、改めるべきと思うに至りました。
束野ビジネス・コンサルティング 代表取締役 束野耕一郎