超高齢社会を支えるトヨタの「ウェルキャブ」

福祉車両がぐんと身近に。使いやすく、進化したウェルキャブでシニアの快適なお出かけをサポート。

2019年4月号 INFORMATION

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「サイドリフトアップチルトシート車」

高齢化率が28%の超高齢社会となった日本。トヨタ自動車は「すべての人に快適な移動の自由」をもっと身近なものにするために、ウェルキャブを通して快適な暮らしをサポートしている。

ウェルキャブ開発者のトヨタ自動車CVカンパニーZU製品開発主査の中川茂氏は「高齢化率で世界断トツ1位の高齢化先進国の日本で本来お役に立つべき福祉車両が十分に役立てていない」と語る。

「身体障がい者のご家庭への福祉車両の普及率は約1割なのに対して高齢者のご家庭はわずか1%程度。より使いやすく進化したウェルキャブで、シニアの快適なお出かけをサポートしたい」(中川主査)

ウェルキャブでお出かけサポート

トヨタは、1960年代から福祉車両の開発を手掛け、94年より高齢化の急速な進展・在宅福祉へのシフトなどを背景に取り組みを強化。まず特筆すべきは国内自動車メーカーで最多車種を揃える多彩なラインナップだ。自分で歩けるけれどクルマの乗り降りに負担を感じる方、車いすを利用している方、車いすのまま乗り降りしたい方、足が不自由でご自身で運転をする方、多人数での移動など、ニーズや状況に応じた仕様・タイプを組み合わせ、ぴったりのクルマを選ぶことができる。

「助手席回転チルトシート車」

最近、足腰が弱ってきたと感じるシニアにおすすめなのは、シートからの立ち上がりや着座をサポートする「助手席回転チルトシート車」(プリウス、プリウスPHV、ポルテ、スペイド、シエンタ)や「サイドリフトアップチルトシート車」(アルファード、ヴェルファイア、ヴォクシー、ノア、エスクァイア)。座面を傾けることでお尻の位置をあまり下げずに地面に足を付けることができるので、膝への負担が軽減され、乗り降りが容易にできるようになった。さらに、従来車では立ち上がる際、クルマの横に1.2mのスペースが必要だったが、約55cmのスペースで乗降できるようになり車庫改造の経済的負担が軽減。隣にクルマが止まっていても乗り降りが可能になり、雨天時もシートの車外への出代が小さいので傘で介護が必要な方やシートが濡れにくくなり、雨の中でも快適に乗降できる。

「車いす仕様車(スロープタイプ)タイプⅢ電動ウェルチェア+ワンタッチ固定式仕様」

車いすのまま乗り降りできる車いす仕様車(スロープタイプ)タイプⅢ電動ウェルチェア+ワンタッチ固定式仕様(ヴォクシー、ノア、エスクァイア)では、スロープを使って車いすを載せた後、簡単な操作で固定できるようにし、介助者の負担を大きく減らすことに成功した。これは今までのスロープタイプ車では手順が多く諦めていた老老介護者にも容易に使える。

過疎地の地域力アップにも貢献

過疎地で活躍する「ウェルジョイン」(秋田県横手市)

乗降時に掴まりやすい専用の手すりを設置、乗降時の通路幅を確保したセカンドシートを導入し、介護施設への送迎や過疎化による交通空白地の問題を抱える地域の交通手段(ミニバス)など、様々な用途に使い易い車両がウェルジョインだ。

ウェルキャブを地域で役立たせる活動も行っている。舞台は秋田県横手市の狙半内(さるはんない)という地域で冬は豪雪地帯となる。過疎化による路線バスの廃止が心配される地域でウェルジョインを提供し実証実験を行った。実証実験後は市が車を購入して本格的に運用している。「坂道がきつくてバス停に行けなかった方が『家の前まで来てくれるおかげで買い物に行けるようになった』と、喜んでくれました。ドライバーは、地元のボランティアさん。集落を回るようになって地域内の交流も増えたと聞いています。ウェルジョインが地域力アップにも貢献できることが実証されました」(中川主査)。

「外出を諦めていた方が外に出られるようにすることは日本にとって大事なこと。まだまだ課題は多い」と語る中川主査は「その努力の先に世の中の幸せがあるか」を考えウェルキャブ開発に取り組んでいる。開発者の優しさが込められたウェルキャブの真髄に触れたい方は全国の専門展示場「ハートフルプラザ」や「ウェルキャブステーション」、東京臨海副都心の「MEGAWEB」で、見て触って体感してみてほしい。(取材・構成/編集部 和田 紀央)

   

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