PEER代表取締役 佐藤真琴

がん患者に安価なウィッグを

2019年2月号 BUSINESS [ヴィジョナリーに聞く!]

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佐藤真琴氏

佐藤真琴氏(さとう まこと)

PEER代表取締役

1977年浜松市生まれ。41歳。1999年米国の大学を出てリクルートに入社。2003年看護専門学校に入り06年卒業。その間の05年に創業し09年PEER代表取締役に。14年静岡大工学部修士課程修了。

――患者さんと向き合っての仕事ですね。

佐藤 個室美容室で病気に悩んでおられる方の相談に乗り、見た目のケアをして、必要だったらウィッグや帽子、乳がん手術の後に使うブレストバンドを買っていただいています。相談は無料、美容室の施術料は7千円で、ウィッグは4万5千円のものと5万5千円のものがあります。中国の工場に作ってもらっていて、連携する美容室ブランドのOEMも作っています。最近、東京の薬樹薬局さんと連携して「Canナビ」というサービスも始めました。このサービスのこだわりはがん患者がご飯を食べ続けることです。管理栄養士が食事の相談に乗って患者さんの食べる楽しみが奪われないようにしています。

――どうしてこの事業を。

佐藤 看護学校の実習のとき51歳の白血病の女性の患者さんがいました。余命幾ばくもないと言われていたのですが、ちょうど前の治療が効いたのか、おうちに少し帰れそうという話になりました。それで「帰るにあたって、したいことありますか」と聞いたら「かつらが欲しい」とおっしゃいました。息子さんのお嫁さんになる人と家具を買いに行く約束をしていて、買い物の時に周りの人に二度見されないように、あと職場の人に挨拶にいく時に心配されないように。それで病棟にあったパンフレットを渡したのですが、後日、「あれ買わなかった」「死んじゃう人が生きていく人のお金使えないもの」と言われました。高過ぎたのです。あと1週間実習があるから待って、と言ってもう一度調べたけれど日本に安いウィッグはありませんでした。その時の無力感が原動力です。

――それでどうしたのですか。

佐藤 中国の青島に飛んで1個分の代金で2個注文してきました。日本に送ってくれたら残りの半金渡すと言って帰国したら2個送ってくれました。ところが、この2個をどうやって売ったらいいかが分からない。ヤフーオークションの広告を見てこれだと思い、「私は看護学生で、すごく安い値段にするので、代わりにもっとこうしたらいいとか教えてください」と書いて出品したら買ってもらえました。ご意見もいただけて、やはり相談できる美容室が欲しいと言われ専門美容室を作りました。

――次の展開は。

佐藤 2025年までにがん患者の1割、5万人にリーチし、そのお話をもとに患者さんが地域に暮らしていくのに必要な解決法を探ります。ハウジングをやりたいと思っています。家で死ぬってすごく難しくて。在宅医療や訪問看護でできそうでも、家族にとって、できるとやるは違います。だから「家」を病院の近くに作りたいのです。

(聞き手/本誌編集人 宮﨑知己)

   

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